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2017年全日本選手権結果と感想(3)

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競技結果とプロトコル
 
 
【ペア】
 
1.  須崎海羽&木原龍一     160.71 --> 平昌五輪、世界選手権、四大陸選手権
2.  橋成美&柴田 嶺      143.93  --> 四大陸選手権
3.  三浦璃来&市橋翔哉     140.76  --> 四大陸選手権、世界ジュニア選手権
※青字はジュニア選手
 
須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組が須藤選手の体調不良と調整不足を理由に欠場したため、全三組の争いとなった。
 
SPは会場で観ることができた。須崎海羽&木原龍一組は順調に実力をつけているように見えた。ペアコンビネーションスピンの逆回転がなくなっていたが、回転速度が上がらずレベルに繋がらないと判断したのだろう(NHK杯ではレベル2、今回はレベル4)。SPでは橋成美&柴田嶺組をジュニアの三浦璃来&市橋翔哉組が上回ったので、橋&柴田組には厳しい結果になることを予想した。
 
しかしFSでは橋&柴田組が逆転して2位に入った。放送を観たら、クリーンとまではいかないものの彼ら比でSBSジャンプやスロージャンプが決まったのが大きかったようだ。二人ともスケーティング技術が高く柔軟性があって身体のラインが美しいので、リフトやコレオグラフィックシークエンスのスパイラルでは見応えがあり、いかにもペアらしい雰囲気を醸し出していた。
 
一方三浦&市橋組は全体的に動きが硬く、特に一橋選手の身体が動いていないように見えた。怪我でもしていなければいいがと思ったが、演技後のインタビューから察するに、初めてのシニアの全日本で更に五輪出場枠を意識したあまり、緊張に負けてしまったらしい。こんなに厳しい表情の一橋選手の表情を見たのは初めてだったし、三浦選手も質問に答えようにも言葉が見つけられないでいた。これも必要な経験だったのかもしれない。昨季の四大陸選手権の須崎&木原組を思い出す。(FSで冒頭のSBSジャンプに失敗した後、動揺して演技全体が崩壊してしまった。)
 
その須崎&木原組はSP後のインタビューで、「二人とも硬くなっていたけれど、それでもやってきたことを出せた」と言っていた。やはり実戦経験を積むのは(失敗も含めて)大事なんだなと思った。また、今季は試合が少なかったため試合慣れしていなかったとも言っていた。8月上旬のAsian Open Trophyから11月上旬のNHK杯までまったく試合がなかった。Challenger SeriesU.S. International Classicあたりに出してあげればよかったのに。NHK杯で見た時、FSの演技中木原選手は柔らかく良い表情を作れていると思った。技術面が整ってきたのでようやく演技に気を配るだけの余裕がでてきたのかなと。一方、須選手の表情は終始緊張でこわばったままだった(^_^;)。今回の全日本では須選手の表情からわずかながら余裕が見られたような気がした。

 
 
【アイスダンス】
 
1.  村元哉中&クリス・リード                 166.45 -->平昌五輪、世界選手権、四大陸選手権
2.  小松原美里&ティモシー・コレト        149.47  --> 四大陸選手権
3.  深瀬理香子&立野在                     130.27 -->四大陸選手権
4.  折原裕香&森望                            113.89
5.  飯田澪&石橋健太                           86.32
 
世界ジュニア選手権への派遣選手は現時点では発表されていない。全日本ジュニアチャンピオンの矢島榛乃&嶋崎大暉組を含め、国際大会出場経験を持つカップルがないため、世界ジュニア出場に必要なTESを持つカップルがいない。
 
アイスダンスの場合国内大会でのレベル判定が国際大会よりも甘めだったりすることもあるので、得点はあくまで参考程度に見ている。上位三組は四大陸選手権に出るので、そこで改めて比較したいと思う。
 
SDで深瀬理香子&立野在組と折原裕香&森望組の差があまりなかったので驚いたが、深瀬&立野組のインタビューによると大きなミスがあったらしい(プロトコルによるとツイズルとパターンダンス?)。しかしFDは会心の演技ができたようだ。
 
そんな深瀬&立野組とは対照的に、折原&森組はSDの出来はよかったもののFDでミスが出たらしく、演技後のインタビューでは悔しそうだった。今後については、スポンサーも見つかっていないのでわかないが、自分達は続けたいとのこと。どこかスポンサーみつからないかなあ。またクラウドファンディングをやったらスケオタは喜んで財布のひもを緩めると思うのだが。

折原&森組と飯田澪&石橋健太組のFDをフィギュアスケートTVで放送してくれないだろうか。
 
 
今後の主要国際大会の日程
12328日   四大陸選手権(台湾 台北)
2912日   冬季オリンピック・団体戦(韓国 平昌)
21423日   冬季オリンピック・個人戦(韓国 平昌)
3511日   世界ジュニア選手権(ブルガリア ソフィア)
31925日   世界選手権(イタリア ミラノ)
 
 
(もう一回つづく。)

2017年全日本選手権結果と感想(4)

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結果とプロトコル。

ここでは印象に残った選手をランダムに書いておきたい。


【男子シングル】

昨季は怪我のため事実上のシーズン全休、今季は肺炎のためNHK杯棄権と、なにかと健康面で不運が続いた村上大介選手(26歳)は、SPでは4位につけたもののFSで7位と失速し、総合で5位に終わった。彼はコンビネーションジャンプの後半に3Tをつけるのが苦手なので、基礎点の高いプログラムを組もうとしても選択肢が限られる。実戦での+3Loの成功は(これは彼に限ったことではないが)低いし、(単に私が彼をよく見ていないだけだけからなのかもしれないが)+1Lo+3Sの成功は見たことがない。Instagramで「ここで負けないで強くなって戻ってくる!」と宣言しているので、来季も現役を続行するものと思われる。

SPで10位と大きく出遅れてFSで4位、総合7位まで挽回した日野龍樹選手(22歳)は、西日本選手権で調子が良さそうだっただけに残念な結果となった。う~ん…。正直言葉が出ない。ジャンプの回転軸が多少外れても冷静に着氷できるのがある意味彼の持ち味(?)なのだが、SPでは3Lzと3Aの軸が彼でも修正できないほど外れてしまった。それだけ緊張していたということだろうか。今季こそ五輪とまではいかなくとも四大陸には派遣されてほしいと思っていたのだが。(もっとも表彰台組が全員四大陸出場を希望したので、いずれにせよ今季の派遣は難しかった。)ジュニア時代からそれとなく見てきた選手なので、ISUチャンピオンシップに一度も出場しないまま競技生活を終えてほしくない。(彼は今季Asian Open TrophyとOndrej Nepela Trophyに出場しているので、後半の国際B級には派遣されない可能性が高い。)

今回昨季とは見違えるように上手くなったと思ったのが、8位の佐藤洸彬選手(22歳)だった。3Aや4Tの成功率がぐっと上がっただけでなく、スケ―ティングがよく伸びるようになって身体の使い方もしなやかでより洗練されたものになっていた。SP・FS共にスピンとステップシークエンスをすべてレベル4で揃えたのは凄い。2015年に地元盛岡に通年リンクができた影響だろうか。現在岩手大学教育学部の4年生だが、来年大学院に進んで競技を続行するそうで、今後がとても楽しみだ。

今回のCSの放送で嬉しかったことの一つは、画面右上に年齢と学年を表示してくれたことだった。一握りの選手を除き、ほとんどの選手は大学卒業と共に競技から引退するからだ。これが最後の全日本になるかもしれないと覚悟して演技を見た選手が何人かいた。10位の鈴木潤選手(23歳、北海道大学4年)もその一人だったが、大学院に進学して競技を続けると聞いてとても嬉しい。北大工学部と3Aの組み合わせってなんか凄い(笑)。鈴木選手のFSが天井カメラと「まずはコンパルソリーから入ります」という西岡アナウンサーのナレーションから始まったのには感動した。選手とプログラムに対する番組制作側の敬意が溢れるシーンだった。原則的には会場音のみで見る方が好きなのだが、西岡アナウンサーの解説は控えめながら大切な情報があちこちにさりげなく散りばめられており、かつ選手に対する確かな敬意が感じられるので聞いていて心地よい。

その一方で本当にこれが最後の全日本となった選手もいた。男子12位の川原星選手(22歳、福岡大学4年)だ。私の記憶では彼はここ一年くらい納得のいかない演技が続いていたと思う。西日本選手権でもかなり苦戦していて、全日本進出は果たしたもののとても心配になった。ところが今回の全日本では生き生きとした演技を見せてくれて、まるで別人のようで驚いた。しかし残念ながらこれが彼の最後の全日本になるという。昨シーズンの「Kenjiの部屋」で目標はユニバーシアードに出ることだと言っていた。そして今年の2月、仲の良い田中刑事選手、日野龍樹選手と共にユニバーシアード出場を果たした。その時の三人の写真が現在彼のTwitterのバナーとなっている。(インカレと国体には出るとのこと。)

2年ぶりにFSに進出した18位山田耕新選手(26歳、SMBC)はスケーティングが力強く伸びやかになったと思った。(思わず2年前にフィギュアスケートTVで放送されたFSを見返してしまった。)振付師であるキャシー・リードさんの特訓の賜物だろうか。


【女子シングル】

SPで一番感動したのは本郷理華選手(21歳)の演技だった。生々しい感情を氷の上にぶちまけるような、成熟した女性の演技だった。残念ながらFSでは緊張がそのままジャンプの弱点に現れてしまったが(苦手な3Lzと3Loの転倒)、怪我に悩まされた昨季からは確実に良い方向に向かっていると思う。FS「Frida」は今季のお気に入りのプログラムの一つなのでいつかは完成形が見たいと思っていたのだが、四大陸選手権への派遣もないのはとても残念だ。(おそらくB級の派遣はあると思うが。)十代の若い選手にはできない深みのある演技をできる選手になってきたし、ジャンプはあと少しだと思うので、このまま頑張ってほしい。「Frida」は来季まで持ち越してくれたら個人的に嬉しい。

多くの選手達が大学卒業と共に競技から引退する中、15位の木原万莉子選手(20歳、同志社大学)は2年生の今季をもって競技から引退する。全日本前にTwitterのプロフィール欄で今回が最後の全日本になると告知していた。今季北米っぽい雰囲気にイメージチェンジして今の日本女子にはいないタイプのスケーターになっていたので、これからが楽しみだと思っていた矢先だった。彼女は2010年に「大腿骨頭すべり症」という難病を発症してしばらく滑れなかった時期があり、手術後シングルジャンプから習得し直して、2013年に全日本ジュニアで4位に入り初めて全日本出場を果たした。ここ2シーズンはカナダのモントリオールに拠点を移して練習に励んでいたが、今回が5回目の、そして最後の全日本となった。このタイミングでの引退を決意した理由はわからない。今後は振付師をめざすとのこと。(国体には出場するそうだ。)

2年生で最後の全日本となった選手もいれば、2年生で初めて全日本でFS進出を果たした選手もいた。昨年中庭健介コーチが「Kenjiの部屋」に出演した時、これまで福岡から国際レベルの男子は(彼自身も含め)何人か出てきたが、女子ではまだ全日本レベルの選手さえ出たことはなく、だから是非女子選手を全日本に送りたいと言っていた。今回16位の竹野比奈選手(20歳、福岡大学)は昨季も全日本に出場したのだが、残念ながらFSには進めなかった。二十歳の大躍進(昨年の西日本選手権では153.22、今年の西日本ではSPで大きく出遅れて141.10、今回の全日本で169.55)の原因はまったくわからないが(^_^;)、全日本で鈴木明子さん振付のFS「もののけ姫」のクリーンな演技を見られたのは嬉しかった。

すごく残念だったのは中塩美悠選手(21歳、早稲田大学3年)。夏に負った左足骨挫傷で今季は思うような練習ができないでいた。西日本選手権ではSP、FS共に綺麗な3T+3Tを決めたのでもう左足は大丈夫なのかなと思っていたのだが、実際はかなり無理をしていたようだ。全日本では3T+3Tのミスが後を引き、他のジャンプにまで影響してしまった。来季が彼女の最後のシーズンとなる。来年の全日本は笑顔で負われることを願う。



第90回日本学生氷上競技選手権大会フィギュア競技(1月5~8日、長野県軽井沢市)

第73回国民体育大会冬季大会スケート競技会(フィギュアスケートは1月28~31日、山梨県甲府市)


(おしまい。)

Joshua Farris選手脳震盪の後遺症の治療費を募集

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2015年の夏、3週間の間に3回の脳震盪をおこし、それが原因で2016年7月に一度は競技から引退したJoshua Farris選手だったが、その後順調に回復して2017年2月には復帰の意向を示していた。今季のSkate Americaに開催国枠で出場するのではという期待も飛び交っていたが、シーズンが始まる頃にはぱったりと近況が入ってこなくなった。症状が再び悪化したらしいという情報はSNSで目にしたのを覚えている。

1月6日にクラウドファンディングのサイトから、Farris選手の治療費を募る告知が出された。

GoFundMe: Josh's Eye and Brain Therapy Fund

脳震盪による第VI脳神経(眼球を外側へ水平に動かす)へのダメージから右目の視力に障害が生じており、それを補うために椎間板ヘルニアも発症したらしい。(両者がどの様に直接関係しているのかは私にはわからない。)右目と右半身の機能を取り戻すための検査と治療に4,300ドルかかるとのこと。日本とは異なりアメリカには政府による国民皆保険は存在せず、各自民間の保険会社と契約する。基本的に患者を助けるための制度ではなく保険会社が儲けるためのビジネスなので、保険料は高額で適用範囲は限られる。Farris選手の場合、治療費は保険から支払われず自腹になるらしい。

治療費も心配だが、何よりFarris選手の健康状態が心配になる。募集開始から24時間と経たないうちに既に目標の5,000ドルの2倍近くの金額が集まっているが、アメリカの医療費は日本や欧州の常識からは考えられないくらい高いので、より多く集められるに越したことはない。私もわずかながら寄付した。彼が一日も早く回復して健康な生活が送れるように祈るばかりだ。


(おしまい。)

2018年全米選手権結果と平昌五輪代表:男子シングル

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2018年全米選手権の結果とプロトコル
 
Men
1.  Nathan Chen               315.23  
2.  Ross Miner                  274.51  
3.  Vincent Zhou               273.83  
4.  Adam Rippon               268.34  
5.  Grant Hochstein           255.31  
6.  Jason Brown               253.68  
7.  Timothy Dolensky         236.33  
8.  Alexander Johnson       232.62  
9.  Max Aaron                   224.20
 
 
FSの滑走順はZhouHochsteinMinerRipponBrownChenだったのだが、Ross Miner選手が会心の演技でVincent Zhou選手を上回って首位に立った時点で結果が読めなくなってきた。
 
 
Ross Miner FS @ 2018 US National Championships
Music: Queen medley (Somebody to Love, Love of My Life, Crazy Little Thing Called Love)
 

 
Miner選手の大健闘は誰にとってもまったくの想定外だった(TES 96.16)。美しくよく滑るスケーティングと癖のないジャンプ技術と爽やかな音楽表現が持ち味の選手で、バンクーバー五輪後シニアに上がるなり頭角を現した。しかしソチ五輪以降は怪我などもあって成績が不安定になって全米選手権の表彰台を逃がし続け、2016年の地元ボストン開催の世界選手権にも出場できなかった。SPFS両方揃えることができたのは数年ぶりになるだろう。今回のFSは間違いなく彼の競技人生の中で最高の演技だった。
 
彼の後に滑ったAdam Rippon選手(GPF 5位)は、冒頭の4Lzの転倒は想定の範囲内として、その後は上手く立て直したかのように見えたのだが、最後のジャンプ2つ(サルコウとルッツ)がシングルになった時、誰もが何かがおかしいことに気がついた。
 
 
Adam Rippon FS @ 2018 US National Championships
Music: Arrival of the Birds (The Cinematic Orchestra), O (Coldplay)
Choreography: Benji Schwimmer
 


 
更にその後のJason Brown選手(GPF 6位)は複数のジャンプのミスが重なってTES70を割り、総合でGrant Hochstein選手を下回った。JSports4の解説は国際ジャッジの大御所である杉田秀夫氏と小塚崇彦さんだったのだが(若干お茶の間風味)、実況の赤平大アナウンサーと共に「いや~この二人の結果はアメリカの連盟の幹部にとっちゃ頭痛いですね~」とアメリカフィギュアスケート連盟の心配をし始めた。
 
私はもしRippon選手の代わりに五輪代表から外れるとしたら3位のZhou選手だろうと思っていた。現実的に見てChen選手以外はメダル争いに絡む可能性は限りなく低いので、誰を送っても大差ないように思えたし、若いZhou選手を優先するかもしれないとも思った。しかし選考結果は意外なものだった。
 
 
平昌五輪代表: Nathan Chen、Adam Rippon、Vincent Zhou
(第一補欠 Jason Brown、第二補欠 Ross Miner、第三補欠 Max Aaron
 
世界選手権代表: Nathan Chen、Adam Rippon、Vincent Zhou
(第一補欠 Jason Brown、第二補欠 Ross Miner、第三補欠 Max Aaron
 
四大陸選手権代表: Jason BrownRoss MinerMax Aaron
(第一補欠 Grant Hochstein、第二補欠 Timothy Dolensky、第三補欠 Alexander Johnson
 
 
2位のMiner選手を五輪代表から外すとは思わなかった。しかも彼は第一補欠ですらない。また、9位のMax Aaron選手が5位のGrant Hochstein選手まで飛び越して第3補欠に選ばれている。ここまで実績重視で選考するのであれば国内選手権を開催する意味がない。
 
それほどまでにMiner選手を五輪代表に選びたくなかったのなら、得点の方を操作して彼を4位以下、せめて3位にすればよかったのに。その程度の点数操作くらいさして難しいことでもないだろう。表彰台に乗っても五輪に行く可能性が始めからゼロだと決まっているならば、選考対象になる選手とならない選手を全米選手権前に公表すればいいのに。それによって引退を早める選手もいるだろう。フィギュアスケートはとにかく金のかかるスポーツなのだから。
 
 
Ross選手のコーチのMarkMitchell氏は今回の結果を受けて彼自身の引退を仄めかしている。彼自身現役選手時代同じ待遇を受けたからだ。1992年の全米選手権で彼は3位に入ったにもかかわらず、アメリカフィギュアスケート連盟(USFS)は彼ではなく全米を欠場したTodd Eldredge選手をアルベールビル五輪に派遣した。Eldredge選手が前シーズンの全米チャンピオンで世界選手権の銅メダリストというのが決定の根拠だった。結局Eldredge選手はアルベールビル五輪で10位に終わった

 
USA Today: U.S. Figure Skating committee picks Olympic stars but leaves heartbreak in its wake
 How do I continue to teach kids day in and day out with hopes and dreams of making the Olympics? I would tell them work hard and do your job and it will pay off. My little kids all watched last night. Why would they comeback to the rink?”
(これからどうやってオリンピックを夢見る子供達を指導していけばいい?一生懸命努力すれば夢は叶うと教えているのに。私の幼い生徒達だって昨日の試合を見たんだ。あの子達がリンクに戻ってくるだろうか?)
 
 
 (おしまい。)

2018年全米選手権結果と平昌五輪代表:女子シングル

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2018年全米選手権の結果とプロトコル

Ladies
1.  Bradie Tennell219.51
2.  Mirai Nagasu213.84
3.  Karen Chen198.59
4.  Ashley Wagner196.19
5.  Mariah Bell192.34
6.  Starr Andrews 189.91
7.  Angela Wang188.01
8.  Amber Glenn168.06
9.  Courtney Hicks165.48


平昌五輪代表: Bradie Tennell、Mirai Nagasu、Karen Chen
(第一補欠 Ashley Wagner、第二補欠 Mariah Bell、第三補欠 Angela Wang) 

世界選手権代表: Bradie Tennell、Mirai Nagasu、Karen Chen
(第一補欠 Ashley Wagner、第二補欠 Mariah Bell、第三補欠 Angela Wang)

四大陸選手権代表: Ashley Wagner、Mariah Bell、Starr Andrews
(第一補欠 Angela Wang、第二補欠 Amber Glenn、第三補欠 Courtney Hicks)


今季の快進撃からしてBradie Tennell選手の優勝は予想できないことではなかった。昨季までまったく無名の選手が全米チャンピオンとしてオリンピックに行くことになる。振付師Benoît Richaud氏にとって、彼女は坂本花織選手に続き五輪へ送り出す二人目の選手になるかつて宮本賢二氏が「選手としてオリンピックに行く夢は叶わなかったけれど、偉大な選手達(高橋大輔さんと鈴木明子さん)のおかげで振付師としてオリンピックに行くことができた」とブログに書いていた。Richaud氏もまた選手として五輪に行くことはできなかったけれど、振付師として五輪に行く。


しかしシンデレラを地で行ったTennell選手よりも多くのファンを感動で号泣させたのは長洲未来選手だったろう。2014年の全米選手権で3位に入りながら実績不足を理由にソチ五輪の出場を与えられなかった。(4位のAshley Wagner選手が実績を理由に選ばれた。)それ以降コーチを変え、身体を絞り、回転不足の解消に努力し、様々な問題を克服し続けながら平昌五輪を目指してきた。今季は3Aを、それもSPから投入してきた。この4年間フ
ァンはずっと彼女を見守っていた。長洲選手の執念とファンの思いが報われた瞬間だった。


Mirai Nagasu FS @ 2018 US National Championships
Music: Miss Saigon (Claude-Michel Schönberg)
Choreography: Jeffrey Buttle



3位のKaren Chen選手と4位のAshley Wagner選手の点差はわずか2.40、それを分けたのはPCSだ。TESはWagner選手の方が0.04上回っていたにも関わらず、PCSで逆転された。


Karen Chen FS @ 2018 US National Championships
Music: Jalousie (Jacob Gade)
Choreography: Karen Chen




Ashley Wagner FS @ 2018 US National Championships
Music: La La Land
Choreography: Shae-Lynn Bourne



Chen選手は今季のために新しいプログラム(Japan Openで披露した「Carmen」)を作ったものの、結局昨季の「Jalousie」に戻してきた。一方Wagner選手は今季のために張り切って「La La Land」を用意したものの周囲の意見に従って既に2シーズン(2014-2015、2015-2016)使用した「Moulin Rouge!」を引っ張り出してきたが、GPS後考え直して全米選手権前に「La La Land」に変更した。私は今回「La La Land」を見た時、「始めからこっちにしておけばよかったのに」と思った。

SPの時点からWagner選手のPCSが辛いという印象はあった。Wagner選手もChen選手も回転不足の癖が出てしまって技術的にはドングリの背比べだった。演技という意味では、Wagner選手の方が観客を物語の中に引き込んでこれが競技だということを忘れさせる魔法のような魅力があったと思うが、ジャッジはそうは思わなかったようだ。FSのPCSはTennell選手が69.71、Chen選手が69.58、Wagner選手が68.00、長洲選手が67.42だった。

Wagner選手自身PCSの低さに対する不満を隠さなかった。選手がここまではっきり言うのは欧米でも珍しいが、ある意味彼女らしいとも言える。また、ソチ五輪アイスダンスの金メダリストのCharlie White氏もPCSの評価を公に批判した。ここでは主にTennell選手とWagner選手のスケーティング技術やプレゼンテーションに言及しているが、アイスダンスのチャンピオンの言葉だけに説得力があると思った。


(おしまい。)

混沌の韓国男子【最終結果】

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全米選手権が開催された同じ週末にオリンピック開催国である韓国でも最後の五輪代表最終選考会を兼ねた国内選手権が開催された。
 
結果とプロトコルはこのページの最初の投稿からダウンロードできる。
 
KBSはまだストライキ中でテレビ放送はなかったらしい。観客撮影の高画質動画はこちらのYouTubeチャンネルから見ることができる。
 
 
Men
1.  Jun-hwan Cha             252.65
2.  Jin-seo Kim                 227.23
3.  June-hyoung Lee         222.98      
 
Ladies
1. Young You *               204.68      
2. Da-bin Choi                190.12
3. Eun-soo Lim *             185.88
4. Ha-nul Kim                  176.92
5. So-youn Park              176.57
6. Ye-lim Kim *               176.02
7. Ji-hun To *                 172.11      
8.  Yu-jin Choi                 166.34
* 年齢制限のため平昌五輪に出場できない選手
 
Pairs
1. Kyu-eun Kim & Alex Kang-chan Kam      149.94  
 
Ice Dance
1. Yura Min & Alexander Gamelin               139.54
 
 
 
1回目2回目の選考会の得点と合計すると、総合結果は以下のようになった。
 
Men
1.  Jun-hwan Cha              206.92 + 224.66 + 252.65 = 684.23
2.  June-hyoung Lee          228.72 + 230.40 + 222.98 = 682.10
3.  Jin-seo Kim                  223.49+ 187.29 + 227.23 = 638.01  
 
Ladies(年齢資格を満たしている選手のみ)
1.  Da-binChoi                  181.79 + 168.37+ 190.12 = 540.28
2.  Ha-nul Kim                  169.15 + 164.20 + 176.92 = 510.27
3.  So-youn Park              149.15 + 162.58 +176.57 = 488.30
4.  Yu-jin Choi                  153.44 + 161.69+ 166.34 = 481.47
 
Pair
1.  Kyu-eun Kim & Alex Kang-chan Kam     135.76 + 130.42 + 149.94 = 416.12
 
Ice Dance
1.  Yura Min & Alexander Gamelin              137.24+ 150.45+ 139.54 = 427.23
 
 
男子は怪我から回復したJun-hwan Cha選手が追い上げて最後の選考会で巻き返し、唯一の出場枠を獲得した。
 
 
平昌五輪韓国代表選手】
Men: Jun-hwan Cha
Ladies: Da-bin Choi, Ha-nul Kim
Pairs: Kyu-eun Kim & Alex Kang-chan Kam
Ice Dance: Yura Min & Alexander Gamelin
 
 
(おしまい。)

北朝鮮平昌五輪参加を表明

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1月9日に板門店で開かれた韓国と北朝鮮の高官級会談で、北朝鮮は平昌オリンピック参加を表明した。

時事通信:北朝鮮参加、高まる祭典ムード=平昌五輪まで1カ月(2018年1月9日)

これによってペアのTae Ok Ryom & Ju Sik Kim組出場の可能性が復活した。ISUは1月10日付で最終的な決定はIOCの判断に委ねると発表した。今季北朝鮮はクロスカントリーやスピードスケートのショートトラックなどで出場枠獲得の試合に選手を派遣しなかったため、出場資格を満たしている種目はフィギュアスケートのペアのみになるが、IOCは特別枠を設けて他の種目でも北朝鮮の選手が出場できるように計らう容易があるらしい。

昨年の夏Ryom & Kim組はカナダのモントリオールに8週間滞在してBruno Marcotte氏の指導を受けた。Ryom & Kim組はMeagan Duhamel & Eric Radford組のファンで、それが彼らのコーチであるMarcotte氏に依頼した理由だった二人は北朝鮮のコーチとスケート連盟の役員を伴ってモントリオールに来たが、常に監視されていたというわけではないらしい。彼らはクレジットカードも持たず運転免許も持たなかったので、Marcotte氏達はかなり親身になって世話をしたようだ。Marcotte氏の夫人であるDuhamel選手もTwitterで彼らの参加を歓迎した。様々な思惑が飛び交い紆余曲折を経たが、Ryom & Kim組が平昌五輪に参加できることを今は素直に喜びたい。

彼らは五輪の前に四大陸選手権(1月23~28日)に出場する予定である。


(おしまい。)

2018年全米選手権結果と平昌五輪代表:ペア

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2018年全米選手権の結果とプロトコル

Pairs
1.  Alexa Scimeca-Knierim & Christopher Knierim   206.60
2.  Tarah Kayne & Danny O'Shea           200.80
3.  Deanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay   197.65
4.  Ashley Cain & Timothy LeDuc           187.14
5.  Haven Denney & Brandon Frazier           186.32
6.  Marissa Castelli & Mervin Tran           182.38
7.  Elliana Pogrebinsky & Alex Benoit           167.98


平昌五輪代表: Alexa Scimeca-Knierim & Christopher Knierim
(第一補欠 Tarah Kayne & Danny O'Shea、第二補欠 Deanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay、第三補欠 Ashley Cain & Timothy LeDuc)

世界選手権代表: Alexa Scimeca-Knierim & Christopher Knierim、Tarah Kayne & Danny O'Shea
(第一補欠 Deanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay、第二補欠 Ashley Cain & Timothy LeDuc、第三補欠 Haven Denney & Brandon Frazier)
 
四大陸選手権代表: Ashley Cain & Timothy LeDuc、Tarah Kayne & Danny O'Shea、Deanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay
(第一補欠 Haven Denney & Brandon Frazier、第二補欠 Marissa Castelli & Mervin Tran、第三補欠 Elliana Pogrebinsky & Alex Benoit)


泣いても笑っても一つしかないペアの枠はAlexa Scimeca-Knierim & Christopher Knierim組(夫妻)が獲得した。冒頭の四回転ツイストは成功したものの、その後SBSジャンプでミスを連発して最終的にTESはそれほど伸びず、むしろPCSの差がものを言った優勝だった。


Alexa Scimeca-Knierim & Christopher Knierim FS @ 2018 US National Championships
Music: Ghost (Bruce Joel Rubin, Dave Stewart, Glen Ballard)
Choreography: Cindy Stuart


(演技は2:30あたりから。)


Tarah Kayne & Danny O'Shea FS @ 2018 US National Championships
Music: Swan Lake (Peter Ilyich Tchaikovsky)
Choreography: Shae-Lynn Bourne


(演技は2:30あたりから。)


今回TESを一番稼いだのは3位のDeanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay組だった。彼らについては昨季も取り上げている。今季で結成二シーズン目で、女性はペア二シーズン目の34歳。今回転倒はしたものの、Th4Sを回りきった(^_^;)。昨季はScimeca-Knierim & Knierim組とTarah Kayne & Danny O'Shea組が不在の全米で4位、今季はその二組に続いて3位となった。今季もっとも躍進したペアがこのStellato-Dudek & Bartholomay組だったと言えるだろう。


Deanna Stellato-Dudek & Nathan Bartholomay FS @ 2018 US National Championships
Music: US Medley (One, Streets Have No Name)
Choreography: Mark Pillay



解説で演技の冒頭でSPのPCSが低かったと不満を述べているのは誰だろう?シングルスケーターがペアに転向するのは日本語を学ぶようなものだと言っているのが興味深い(笑)。プログラムの前半にミスが連続したがそれをまったく引きずらず、その後は観客を自分達の世界に引き込んだ。Th4Lo着氷の瞬間に聞こえる雄叫びは彼らのコーチのものだろうかw?Stellato-Dudek選手の一つ一つのポジションや動きが実に美しい。きっととても体幹が強いのだろう。最後のリフトは本当に圧巻だった。彼らを四大陸選手権で見られるのが本当に嬉しい。(なぜトップ選手の控えスペースに犬がいるのかはわからない。可愛いからいいけどw。)


心配になったのは昨季2位(実質4位)から今季6位へと順位を落としてしまったMarissa Castelli & Mervin Tran組。Tran選手が高橋成美選手と日本代表としてジュニアとシニアを掛け持っていたのがついこの前にことのように感じるが、気がつけば彼も27歳になっていた。


Marissa Castelli & Mervin Tran FS @ 2018 US National Championships
Music: Women (Shawn Phillips)
Choreography: Julie Marcotte



とても素敵なプログラムで二人によく似合っていると思う。最後のデススパイラルの入り方が凄い(^_^;)。しかし、いかせんせんSBSジャンプがまったく決まらない。

カナダ国籍のTran選手は昨年アメリカ合衆国の永住権(グリーンカード)を取得したそうなので、おそらくアメリカの市民権を取って北京五輪を目指すつもりなのだろう。それまでにSBSジャンプの課題を克服できればいいのだが。


(おしまい。)

2018年全米選手権結果と平昌五輪代表:アイスダンス

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2018年全米選手権の結果とプロトコル
 
 
Ice Dance
1.  Madison Hubbell & Zachary Donohue                  197.12  
2.  Maia Shibutani & Alex Shibutani                         196.93  
3.  Madison Chock & Evan Bates                            196.60  
4.  Kaitlin Hawayek & Jean-LucBaker                      187.61  
6.  Lorraine McNamara & Quinn Carpenter               175.19  
7.  Elliana Pogrebinsky & Alex Benoit                      167.98  
8.  Alexandra Aldridge & Daniel Eaton                      153.93  
9.  Karina Manta & Joseph Johnson                        151.00
 
 
平昌五輪代表Madison Chock & Evan BatesMadison Hubbell & Zachary DonohueMaiaShibutani & Alex Shibutani.
(第一補欠 Kaitlin Hawayek & Jean-Luc Baker、第二補欠 Lorraine McNamara & Quinn Carpenter、第三補欠 Rachel Parsons & Michael Parsons
 
世界選手権代表: Madison Chock & Evan BatesMadison Hubbell & Zachary Donohue Maia Shibutani & Alex Shibutani.
(第一補欠 Kaitlin Hawayek & Jean-Luc Baker、第二補欠 Lorraine McNamara & Quinn Carpenter、第三補欠 Rachel Parsons & Michael Parsons
 
四大陸選手権代表: Kaitlin Hawayek & Jean-Luc BakerLorraine McNamara & Quinn CarpenterRachel Parsons & Michael Parsons
(第一補欠 Elliana Pogrebinsky & Alex Benoit、第二補欠 Alexandra Aldridge & Daniel Eaton、第三補欠 Karina Manta & Joseph Johnson

 
過去三季続けて3位に甘んじてきたMadisonHubbell & Zachary Donohue組が初優勝。ヨーロッパ、カナダに続き、アメリカでもモントリオール組が頂点に立った。
 
 
Madison Hubbell & Zachary Donohue FD @ 2018 US National Championships
Music: Across the Sky (Rag'n'Bone Man),Caught Out in the Rain (Beth Hart)
Choreography: Marie-France Dubreuil, P. Lauzon, G. Cournoyer
 
 
(演技は4:30あたりから。)
 
 
Challenger SeriesU.S. International Classicで見た時から、スタイリッシュでかっこいいプログラムだなあと思った。この全米選手権の演技も見とれている間に終わってしまった。これに比べると、Maia Shibutani & Alex Shibutani組のFDParadise」は正直言って一昨季の「Fix You」の二番煎じに思えるし、Madison Chock & Evan Bates組の「Imagine」はChristopher Dean氏の振付にしては新鮮味に欠けるように感じた。
 
今回Shibutani兄妹はFDであちこち小さなミスが目立った。初めて全米を制した一昨季の様な覇気を今回は感じられなかった。
 
 
一方、Kaitlin Hawayek & Jean-Luc Baker組はFDを持ち越して昨季の雪辱を果たした。
 
 
Kaitlin Hawayek & Jean-Luc Baker @ 2018 US National Championships
Music: Liebesträume (Franz Liszt)
Choreography: Pasquale Camerlengo
 

 
彼らは昨季NHKで素晴らしい「Liebesträume(愛の夢)」を見せてくれたのだが、全米選手権ではFDではミスが重なって8位、総合で5位に終わった。今季の全米選手権で完成形の「Liebesträume」を滑ることは、彼らにとってやり残した仕事だったのだろう。
 
 
シニア一季目のRachel Parsons & Michael Parsons組(昨季の世界ジュニアチャンピオン)とLorraine McNamara & Quinn Carpenter組(一昨季の世界ジュニアチャンピオン)がどこまで食い下がるかも見所の一つだったがシニアの壁は厚かった。トップ4組と直接比べるとやはりまだ粗く見えた。
 
 
(おしまい。)

2018年カナダ選手権結果と五輪代表

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演技はほとんど見ていないので結果のみ。

競技結果とプロトコル

平昌五輪代表

世界選手権および四大陸選手権代表


Men
 1.  Patrick Chan 272.24 →平昌五輪、世界選手権
 2.  Keegan Messing 259.25 →平昌五輪、世界選手権
 3.  Nam Nguyen258.16 →四大陸選手権
 4.  Elladj Baldé 250.28 →四大陸選手権
 5.  Kevin Reynolds 249.30 →四大陸選手権
 6.  Joseph Phan 241.71 →世界ジュニア選手権
 7.  Roman Sadovsky 233.67
 8.  Liam Firus 232.49
 9.  Nicolas Nadeau 227.51
10.  Stephen Gogolev 220.81
11.  Conrad Orzel 207.66 →世界ジュニア選手権


Ladies
1.  Gabrielle Daleman 229.78 →平昌五輪、世界選手権
2.  Kaetlyn Osmond218.73 →平昌五輪、世界選手権
3.  Larkyn Austman169.62 →平昌五輪、世界選手権
4.  Alaine Chartrand 164.21 →四大陸選手権
5.  Aurora Cotop 156.89 →世界ジュニア選手権 
6.  Kim DeGuise Léveillée154.41  
7.  Michelle Long 153.46 →四大陸選手権
8.  Alicia Pineault152.21 →四大陸選手権


Pairs
1.  Meagan Duhamel & Eric Radford 234.55 →平昌五輪、世界選手権
2.  Julianne Seguin & Charlie Bilodeau 213.00 →平昌五輪、世界選手権
3.  Kirsten Moore-Towers & Michael Marinaro 209.85 →平昌五輪、世界選手権
4.  Lubov Ilyushechkina & Dylan Moscovitch 190.53 →四大陸選手権
5.  Evelyn Walsh & Trennt Michaud 182.87 →世界ジュニア選手権
6.  Camille Ruest & Drew Wolfe 177.54 →四大陸選手権
7.  Sydney Kolodziej & Maxime Deschamps171.20 →四大陸選手権


Ice Dance
1.  Tessa Virtue & Scott Moir 209.82 →平昌五輪、世界選手権
2.  Piper Gilles & Paul Poirier 192.08 →平昌五輪、世界選手権
3.  Kaitlyn Weaver & Andrew Poje 191.09 →平昌五輪、世界選手権
4.  Carolane Soucisse & Shane Firus 180.73 →四大陸選手権
5.  Sarah Arnold & Thomas Williams 158.53 →四大陸選手権
6.  Haley Sales & Nikolas Wamsteeker 154.74 →四大陸選手権



男子は今季を最後に競技から引退すると表明していた選手が多かっただけに、誰が選ばれても他の選手のために嘆くことになるであろうことは、今季が始まった時からわかっていたことではあった。今季アメリカのBradie Tennell選手がLombardia Trophyの勢いそのままに一気に全米チャンピオンへの階段を駆け上がったように、Keegan Messing選手もまたAutumn Classic Internationalからの勢いそのままに一気に平昌五輪への階段を駆け上がった。バンクーバー五輪シーズンの鈴木明子さんもそうだったが、稀にではあるが五輪にぴったり合わせたかのように突然彗星の様に上昇してくる選手が現れるのが興味深い。

かと思えば五輪シーズンになると失速してしまう選手もいる。女子の結果から察するに、カナダスケート連盟(Skate Canada)はカナダ選手権一発勝負で選考し、これまでの戦績は一切考慮されなかったらしい。Alaine Chartrand選手には気の毒な結果になった。

ペアのLubov Ilyushechkina選手はカナダ出身で、五輪を目指して昨年カナダの市民権を取得していた。カナダもロシアも二重国籍を認めているため何かを失ったわけではないが、他の選手達よりも資金や労力を注ぎ込んだ分だけより残念であることには変わりない。Ilyushechkina選手は現在26歳、パートナーのDylan Moscovitch選手は既に33歳なので、二人で北京五輪を目指すのは難しいだろう。


(おしまい。)

2018年欧州選手権の結果と感想(1)

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2018年欧州選手権について、一部ロシア選手権の結果も含めて、感想を書いておこうと思う。平昌五輪で団体戦に出場しない国の選手や、この欧州選手権で五輪の出場枠を争った選手の演技を中心に紹介していきたい。
 
2018年欧州選手権の競技結果
 
ロシア選手権競技結果
 
平昌オリンピック各国出場枠
 
平昌オリンピック代表選手(正式な発表が出た国から順次埋まっている)
 
 
Men

1.  Javier FERNANDEZ  (ESP) 295.55  
2.  Dmitri ALIEV  (RUS)        274.06  
3.  Mikhail KOLYADA  (RUS)  258.90  
4.  Deniss VASILJEVS  (LAT)243.52  
5.  Alexei BYCHENKO  (ISR)  238.44  
6.  Alexander SAMARIN  (RUS) 229.81  
7.  Alexander MAJOROV  (SWE) 225.86  
8.  Michal BREZINA  (CZE)        225.20  
 
 
五輪の欧州男子の出場枠はスペイン、ロシア(Olympic Athletes fromRussia)、イスラエルが各2枠、それ以外は各1枠。欧州選手権の時点ではロシアのみがまだ発表になっていなかった。
 
ロシア選手権はとにかく怪我人が多かった。男子ではMaxim Kovtun選手(22歳)とAlexander Petrov選手(18歳)がSPだけ滑った後棄権した。今季GPFまで安定して好調だったSergei Voronov選手(30歳)はここに来て崩れてしまった。FSはどの選手もミスが多く、Vonorov選手が勝てない試合ではなかったと思うのだが、彼もまた緊張感に飲まれてしまったのかミスを連発して表彰台と欧州選手権派遣を逃し、同時に彼の平昌五輪シーズンも終了した。ロシア選手権は1. Mikhail Kolyada22歳)、2. Alexander Samarin19歳)、3. Dmitri Aliev18歳)、欧州選手権は2. Aliev3. Kolyada6.Samarinという結果になり、五輪代表にはKolyada選手とAliev選手が選出された。Kolyada選手は今回SPFS合わせてクワドが一本も成功しなかったのが、五輪に向けての不安材料になりそうだ。 
 
優勝はJavier Fernandez選手(26歳)で、これで欧州選手権6連覇になる。彼を見ているとやはりBrian Orser組の技術指導はすごいなと思う。ただ、今季の彼の演技にはどこか物足りないという印象を持っている。覇気が足りないというか、ただ黙々と無表情で滑っているというか。FSでは彼の後に滑ったDmitri Aliev選手の演技の方が感動した。
 
 
Javier Fernandez @ 2018 European Championships
Music: Man of La Mancha (Mitch Leigh)
Choreography: David Wilson
 

 
Dmitri Aliev @ 2018 European Championships
Music: To Build A Home (Cinematic Orchestra), The Winner Is (Mychael Danner & DeVotchKa), How It Ends (Mychael Danner & DeVotchKa)
Choreography: Olga Glinka, Valentin Molotov, Alexander Rachinski
 

 
今季大きく成長したのは4位のDenissVasiļjevs選手(18歳)。クワドはまだまだこれからだが、3Aはかなり安定してきた。滑りや身体の使い方が本当にコーチのStéphaneLambiel氏そっくりになってきた(笑)。ロシアのテレビ局のカメラは試合中コーチの表情を捕らえるのがとても上手くて、Rostelecom Cupやロシア選手権でもしばしば笑わせてくれるのだが、Lambiel氏の場合は他のコーチの数倍楽しい(笑)。
 
 
Deniss Vasiļjevs FS @ 2018 European Championships
Music: Put the Blame On Mame (it:Doctor 3), Anyone to Love (Michael Bublé),
Sway (Michael Bublé)
Choreography: Stéphane Lambiel, Salomé Brunner
 

3:25あたりから注目w。)
 
 
今回得点は伸びなかったけれど、とても印象に残ったのはMichal Brezina選手(27歳)のFS。ここ数年の彼のFSの中で一番良い演技だったと思う。個性的なプログラムだなあと思ったら振付師はBenoît Richaud氏だった。
 
 
Michal Brezina FS @ 2018 European Championships
Music: Human (Jamie Hartman, Rory Graham), Stand by Me (Ben E. King, Jerry Leiber and Mike Stoller, covered by Bootstraps)
Choreography: Benoît Richaud
 

Brezina選手は演技後手で優しく氷を撫でた。これが彼にとって最後の欧州選手権だったのかもしれない。
 
 
この欧州選手権が現役最後の試合となっていたドイツ代表のPeter Libers選手(29歳)は公式練習中に怪我をして棄権せざるをえなくなった。ソチ五輪以降は怪我が多くてほとんど試合に出られない状態が続いていたと記憶している。最後に彼の演技を見られると楽しみにしていただけに本当に残念だった。ドイツは平昌五輪にはPaul Fentz選手(25歳)が出場する。

 
(女子へつづく。)

2018年欧州選手権の結果と感想(2)

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Ladies
 
 1.  Alina ZAGITOVA  (RUS)         238.24  
 2.  Evgenia MEDVEDEVA  (RUS) 232.86  
 3.  Carolina KOSTNER  (ITA)       204.25  
 4.  Maria SOTSKOVA  (RUS)       200.81  
 5. Loena HENDRICKX  (BEL)   176.91  
 6. Nicole RAJICOVA  (SVK)     171.90  
 7. Alexia PAGANINI  (SUI)         161.62  
 8.  MaeBerenice MEITE  (FRA) 159.70  
 9. Emmi PELTONEN  (FIN)    159.48  
10. Nicole SCHOTT  (GER)    157.84  
11. Laurine LECAVELIER  (FRA) 154.11  
12. Eliska BREZINOVA  (CZE)        149.69  
13. Ivett TOTH  (HUN)                      148.98  
14. Viveca LINDFORS  (FIN)              147.89  
 
 
平昌五輪出場枠はロシア3枠、イタリア2枠、それ以外は各国1枠だった。欧州選手権の時点では、ロシアの他にフィンランドとフランスの代表が決まっていなかった。
 
ロシア選手権では、まずAnna Pogorilaya選手(19歳)が背骨の怪我のため不出場を決断して今シーズンを早めに切り上げた。足の骨折のためにGPFを棄権したEvgenia Medvedeva選手(18歳)も欠場を発表したが、これまでの実績から欧州選手権の出場権は与えられた。

欧州選手権はAlina Zagitova選手(15歳)が怪我明けのMedvedeva選手を押さえて優勝した。Zagitova選手はSPFSもジャンプをすべて後半に詰め込み、現在の採点法(International Judging SystemIJS)の限界までTESを積み上げた。数字上はこれが最高・究極の演技ということになる。果たしてこれが、ISUIJSを作った時理想として目指した演技なのかはわからないけれど。ロシアフィギュアスケート連盟は平昌五輪にMedvedeva選手、Zagitova選手、Maria Sotsukova選手(17歳)を派遣すると発表した。
 
Carolina Kostner選手(30歳)はSPではIJSがまだ芸術性を正しく評価できること裏付けるかのような演技を見せたが、FSは改めてIJSの欠陥を提示するような演技だった。ジャンプにミスが目立ち演技全体に迷いが現れていたにも関わらず、PCSは全項目9点台だった。彼女の世代は常に複雑なトランジションからジャンプを跳ぶ訓練は受けていないため、ジャンプの間はほとんど両足で滑っているにも関わらず、TRまで9点を越えた。「PCSは実績点に過ぎない」という説を改めて裏付けるサンプルとなった。ちなみにFSの新衣装は各方面で評判が悪く、某英語の掲示板で「人間蛍光ペン」と呼んでいたのには吹き出した(笑)。
 

今回特に印象に残ったのは、5位のLoena Hendrickx選手(18歳)だった。男子シングルのJorik Hendrickx選手の妹で、昨季シニアに上がり初出場の世界選手権でベルギーの出場を獲得した。Jorik選手に似たしなやかなスケーティングに加え力強いジャンプも揃えていおり、今後が楽しみな選手だ。残念ながら彼女のFSは音楽(Gotan Projectの「Differente」)がYouTubeでブロックされるため動画では見られなくなっている。
 
 
フランスの出場枠はMaé-Bérénice Méité 選手(23歳)とLaurine Lecavelier 選手(21歳)の間で争われた。今季はGPSInternationaux de Franceでもフランス選手権でもMéité 選手がLecavelier 選手を下していた。SP終了時点でLecavelier 選手が1.22点リードしいてた。
 
 
Maé-Bérénice Méité FS @ 2018 European Championships
Music: Les Nocturnes (Frédéric Chopin), Happy (C2C)
Choreography: Benoît Richaud
 

 
面白いプログラムだなと思ったら、振付師はBenoît Richaud氏だった(^_^;)。(また、あんたかw。)中盤のLoが抜けてしまった以外、大きなミスはなかった。一方、Lecavelier 選手はFSを昨季の「Grease」に戻して、いわば背水の陣でこの欧州選手権に臨んだ。
 
 
Laurine Lecavelier FS @ 2018 European Championships
Music: Grease medley (“Hopelessly Devoted to You”, “You're the One That I Want”, by John Farrar, performed by Olivia Newton-John)
Choreography: Fabian Bourzat
 


予定よりも早く衣装がネタを明かしてしまい、それが集中力を削いでしまわないかと心配したのだが、むしろ衣装変化の完了以降にジャンプのミスが連発した。全体的に何かが噛み合っていないという印象で、演技の終了まで音楽に遅れてしまった。PCSではLecavelier 選手の方が優位だったが、Méité選手がTESで逃げ切った。
 
 
フィンランドの出場枠はEmmi Peltonen 選手(18歳)とViveca Lindfors選手(18歳)の間で争われた。国内選手権ではPeltonen 選手が優勝、Lindfors選手が2位だった。SP終了時点でPeltonen選手が1.06点リードしいてた。
 
 
Viveca Lindfors @ 2018 European Championships
Music: Cinderella (soundtrack by PatrickDoyle)
Choreography: Shanetta Folle, Sari Hakola
 

 
ダイナミックなジャンプを跳ぶ選手で、前半はまずまずの滑り出しでTESを積み上げて行ったのだが、後半のステップシークエンスで思いがけず転倒し、最後のジャンプとスピンまでそれを引きずってしまった。(選手はステップシークエンスでは転倒を想定していないため、転倒するとジャンプでの転倒よりも痛いらしい(^_^;)。)
 
 
Emmi Peltonen @ 2018 European Championships
Music: Papa, Can You Hear Me? (Michel Legrand)
Choreography: Mark Pillay
 

 
1950年代の映画女優の様な風貌(まだ18歳とは驚いたw)と滑らかなスケーティングは、同じフィンランドのKiira Korpiを思い起こさせる。多少のミスはあったもののPeltonen 選手が冷静・堅実に得点を積み上げて、最終結果でLindfors選手を上回った。
 
 
122日時点で、まだフランスもフィンランドも女子の代表を発表していない。
 
 
(ペアとアイスダンスにつづく。)

2018年欧州選手権の結果と感想(3)

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Pairs

1.  Evgenia TARASOVA & Vladimir MOROZOV  (RUS)221.60
2.  Ksenia STOLBOVA & Fedor KLIMOV  (RUS)211.01
3.  Natalia ZABIIAKO & Alexander ENBERT  (RUS)210.18
4.  Vanessa JAMES & Morgan CIPRES  (FRA) 210.17
5.  Valentina MARCHEI & Ondrej HOTAREK  (ITA)204.20
6.  Nicole DELLA MONICA & Matteo GUARISE  (ITA)192.38
7.  Miriam ZIEGLER & Severin KIEFER  (AUT)181.75
8.  Annika HOCKE & Ruben BLOMMAERT  (GER)170.21


平昌五輪のペアの出場枠はロシア(Olympic Athletes from Russia、OAR)が3枠、ドイツとイタリアが各2枠、それ以外の国は各1枠。欧州はロシア以外は既に発表になっていたし、ロシアも欧州選手権代表がそのまま五輪代表になった。


実はペアはまだ録画を見ていない(^_^;)。明日から四大陸選手権が始まってしまうため、正直見る時間がない。ここでは結果だけ書いておくことにする。



Ice Dance

 1.  Gabriella PAPADAKIS & Guillaume CIZERON  (FRA)203.16
 2.  Ekaterina BOBROVA & Dmitri SOLOVIEV  (RUS)187.13
 3.  Alexandra STEPANOVA & Ivan BUKIN  (RUS)184.86
 4.  Anna CAPPELLINI & Luca LANOTTE  (ITA)180.65
 5.  Charlene GUIGNARD & Marco FABBRI  (ITA)177.75
 6.  Tiffani ZAGORSKI & Jonathan GUERREIRO  (RUS)168.45
 7.  Penny COOMES & Nicholas BUCKLAND  (GBR)168.42
 8.  Sara HURTADO & Kirill KHALIAVIN  (ESP)165.03
 9.  Laurence FOURNIER BEAUDRY & Nikolaj SORENSEN  (DEN)164.90
------------------------------------------------------------------
10.  Marie-Jade LAURIAULT & Romain LE GAC  (FRA)154.04
------------------------------------------------------------------
16.  Angelique ABACHKINA & Louis THAURON  (FRA)139.74


平昌五輪の出場枠はフランス、ロシア(OAR)、イタリアが各2枠、それ以外の国は各1枠。欧州選手権の時点では、ロシアの他にフランスの2枠目が決まっていなかった。

ロシア選手権でVictoria Sinitsina & Nikita Tatsalapov組がFDの演技中にTatsalapov選手が足の異常を訴えて棄権した。(後に足首の靱帯断裂と診断されたらしい。)この時点で五輪代表はEkaterina Bobrova & Dmitri Soloviev組とAlexandra Stepanova & Ivan Bukin組にほぼ内定したと考えていいだろう。

欧州選手権はGabriella Papadakis & Guillaume Cizeron組が圧勝の4連覇。このカップルだけ技術的に別次元にいるという印象だった。ただ、個人的に一番感動したプログラムはEkaterina Bobrova & Dmitri Soloviev組のFDだった。(ロシア選手権ではコーチのAlexander Zhulin氏がリンクサイドで大粒の涙を流していた。)


Ekaterina Bobrova & Dmitri Soloviev FD @ 2018 European Championships
Music: Oblivion (Astor Piazzolla, performed by Two Cellos), Beethoven's Five Secrets (The Piano Guys)
Choreography: Sergei Petukhov



Alexandra Stepanova & Ivan Bukin組のFDは「Liebestraum(愛の夢)」のヴォーカルバージョンがあまりにぶっ飛びすぎていて、毎度の事ながら見ていてもさっぱり演技に集中できない(^_^;)。某英語の掲示板で、「ありゃLiebestraumじゃなくてLiebestrauma(trauma=トラウマ)だわ」と言われていた(笑)。それぐらい音楽が強烈すぎて、演技をまったくと言っていいほど覚えていない。


フランスの2枠のうち1枠はPapadakis & Cizeron組に決まっており、残る1枠をシニア1シーズン目のMarie-Jade Lauriault & Romain Le Gac組とシニア2シーズン目のAngelique Abachkina & Louis Thauron組で争っていた。フランス選手権ではLauriault & Le Gac組が2位、Abachkina & Thauron組が3位だった。Abachkina選手はロシア出身で、昨年フランスの市民権を取得している。SD終了時点ではLauriault & Le Gac組が0.85の僅差でリードしていた。


Angelique Abachkina & Louis Thauron FD @ 2018 European Championships
Music: Mariage d'amour (Paul de Senneville), Je suis malade (Alice Dona & Serge Lama, performed by Lara Fabian)
Choreography: Fabian Bourzat, Greg Zuerlein



クライマックスのストレートラインリフトが上がり損ねて0点になってしまった。これは痛い。


Marie-Jade Lauriault & Romain Le Gac FD @ 2018 European Championships
Music: You Take My Breath Away (Queen), Another One Bites the Dust (Queen)
Choreography: Marie-France Dubreuil, Romain Haguenauer



正直な話、もしAbachkina & Thauron組が最後のリフトで成功しても、おそらくLauriault & Le Gac組が勝っていただろうとは思う。現時点では技術的に両組の間にまだ差があるようだ。


9位のLaurence Fournier Beaudry & Nikolaj Sorensen組は平昌五輪には出場しない。デンマークは国籍取得の要件が非常に厳しく、カナダ出身のFournier Beaudry選手は市民権を取ることができなかった。昨季の世界選手権で13位に入って五輪の枠を獲得した後、政府に特別措置を嘆願する署名活動も行われたが、願いは聞き入れられなかった。デンマークには彼ら以外に平昌五輪出場に必要なTESを持つ(あるいは取る可能性のある)カップルがいなかったため、Nebelhorn Trophy前に出場枠を返上した。


Laurence Fournier Beaudry & Nikolaj Sorensen FD @ 2018 European Championships
Music: Spanish Caravan (The Doors), Hush (performed by Marcin Patrzalek), Asturias (performed by Marcin Patrzalek)
Choreography: Marie-France Dubreuil, Patrice Lauzon



このプログラムをオリンピックの大舞台で見られないのはとても残念だ。


(おしまい。)

2018 Bavarian Open エントリー

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公式ウェブサイト(12631日、ドイツ オーベルスドルフ)
 
リザルトページ
 
【シニア女子】 松田悠良、新田谷凜
【ジュニア男子】 櫛田一樹、佐藤駿
【ジュニア女子】 渡辺倫果、川畑和愛
Advanced Novice Boys】 三浦佳生
 
櫛田一樹選手はこれが初めての国際大会になるらしい。
 
どうやら公式のライブストリームはなさそうだ。(去年もなかった。)
 
 
(おしまい。)

2018 Mentor Torun Cup エントリー

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公式ウェブサイト(13024日、ポーランド トルン)
 
リザルトページ
 
【シニアアイスダンス】 小松原美里&ティム・コレト、深瀬理香子&立野在、折原裕香&森望
【ジュニアアイスダンス】 矢島榛乃&嶋崎大暉
 
小松原美里&ティム・コレト組と深瀬理香子&立野在組は四大陸選手権からの連戦になる。全日本ジュニアチャンピオンの矢島榛乃&嶋崎大暉組は世界ジュニア選手権出場に必要なTESを獲りに行くのだろう。折原裕香&森望組と共にこれが初めての国際大会となる。
 
例年通りなら公式ライブストリームはあるものと思われる。
 
 
(おしまい。)

スウェーデン五輪委員会Alexander Majorov選手を平昌へ派遣せず

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スウェーデンのオリンピック委員会はAlexander Majorov選手を平昌オリンピックへ派遣しない事を正式に決定し、スウェーデンの出場枠をIOCに返上した。Majorov選手は昨年のNebelhorn Trophyで平昌五輪の出場枠を獲得していたが、スウェーデンのオリンピック委員会は今季五輪までに昨季の世界選手権8位相当の得点を出さなければ、平昌に派遣しない方針を決めていた。昨年の世界選手権の8位(Mikhail Kolyada選手)の得点は257.47で、Majorov選手のパーソナルベストは昨シーズンのWarsaw Cupで出した228.97よりも30点近く高かった。平昌五輪前の最後の試合となった欧州選手権225.86点で7位という結果を受けて、オリンピック委員会は最終的な決定を下した。これはスウェーデンのスケート連盟の決定ではなく、あくまで五輪委員会の決定である。
 
 
Alexander Majorov FS @ 2018 European Championships
Music: Man With the Golden Arm (Elmer Bernstein), From Russia With Love (from James Bond soundtrack, by Elmer Bernstein), Dirty Buggy (Brian Setzer)
Choreography: Irina Majorova
 

 
これはフィギュアスケートに限ったわけではなく、スウェーデンでは原則的にメダル争いに絡む可能性がない選手は五輪には出さないという方針らしい。2014年ソチ五輪にMajorov選手が派遣されたのは、当時彼が22歳と若くまだ将来性が残されているという理由で下された特別措置だった。既に26歳となっていた今回は同じ措置は適用されなかった。
 
また、これはスウェーデンに限ったわけでもなく、四年前ノルウェーのAnne Line Gjersem選手は欧州選手権で8位以内に入らなければソチ五輪には派遣しないと言い渡された。欧州選手権の結果は19位だったが、結局特別措置で出場することができた。(ノルウェーは平昌の女子の出場枠は獲得できなかった。)
 
この件については英語のフォーラムでも早速スレッドが立って長いディスカッションが続いたが、スカンジナビアの国々ではメダルを獲る可能性もないの五輪に出るのは我儘だという社会的な風潮があるらしい。「五輪は参加することに意義がある」というエセルバート・タルボットの意見には賛同しないようだ。(この言葉はIOC第二代会長ピエール・ド・クーベルタンのものとして知られているが、実はオリジナルはタルボットらしい。)
 
メダル候補しか五輪に出さないとか、マジに阿呆かと思う。そんなんじゃ永遠にメダルなんぞ取れんわ。今では当たり前のように男子のメダルを期待するようになった日本が、2010年のバンクーバー五輪で初めてメダルを獲得するまでどれだけの時間と労力をかけてきたと思っているのか。高橋大輔さんの銅メダルは、白人が圧倒的に有利と思われていた競技において何世代にも渡り厚い壁に体当たりをし続けた先人達の努力の積み重ねの賜物に他ならない。
 
スウェーデンが五輪参加に消極的なのは、今や五輪が余りに商業的・政治的に偏りすぎ、さらにはロシアの国ぐるみのドーピングなどスキャンダルまみれになってしまったため、もはやそのために投資する意義を見いだしていないからだという見方もある。だったら、自国の五輪委員会を解散させて五輪そのものに参加しなければいいのに。そもそもなぜ現実的に達成不可能と思われるような目標をMajorov選手に与えた上で、わざわざ彼を枠取りのためにNebelhorn Trophyに送ったのか。
 
世界中のフィギュアスケートファンによる署名活動も行われ14000人余りが賛同したが、スウェーデンのオリンピック委員会の決定が覆ることはなかった。平昌には第一補欠であるフィリピンのMichael Christian Martinez選手が出場する。彼にとってはソチに続いて2度目の五輪となる。
 
Martinez選手はNebelhorn Trophy以降今季はまったく試合に出ておらず、現在台湾で開催中の四大陸選手権にもエントリーしなかったのでどうしているのか心配していた矢先に平昌五輪繰り上げ出場のニュースが入ってきた。2月中旬に始まる個人戦までに調整が間に合うと良いのだが。前述のGjersem選手は実はフィリピン系ノルウェー人で(母親がフィリピン出身)、彼女とMartinez選手の成功はフィリピンのフィギュアスケートを盛り上げる原動力になっているそうだ。
 
 
Michael Christian Martinez FS @ 2017 Nebelhorn Trophy
Music: El Tango de Roxanne (from Moulin Rouge!), Tango de los Exilados (by Walter Taieb, performed by Vanessa Mae)
Choreography: Phillip Mills
 

(曲の編集の仕方が荒っぽくてすごいw。これ本当にPhillip Mills氏振付のプリグラムなの?(^_^;)。)
 
 
(おしまい。)

ロシアが平昌五輪代表を一部変更

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FIGURE SKATING
Men: Mikhail Kolyada, Dmitry Aliev,
Ladies: Evgenia Medvedeva, Alina Zagitova, Maria Sotskova,
Pairs: Yevgeniya Tarasova & Vladimir Morozov, Ksenia Stolbova &Fedor Klimov, Natalya Zabiyako & Alexander Enbert, Christina Astakhova& Alexei Rogonov
Ice Dance: Ekaterina Bobrova & Dmitry Soloviev, Alexandra Stepanova & Ivan Bukin, Tiffani Zagorski & Jonathan Gureyro
 
 
変更の理由はIOCがペアのKsenia Stolbova選手とアイスダンスのIvan Bukin選手が参加を禁じたためである。国家絡みの組織的なドーピングが暴露されたロシアを平昌五輪に参加させるかで議論が交わされていた昨年の夏、ロシア五輪連盟はIOCに平昌五輪参加の可能性がある選手のリストを提出した。12月7日にIOCはロシアの国としての参加は認めないものの、ドーピングの可能性はないと証明された選手に限り「Olympic Athletes from RussiaOAR)」として参加を認めると決定した。今月IOCがドーピングの可能性なしと認めた選手のリストをロシア五輪連盟に返してきたが、その中にStolbova選手とBukin選手の名前はなかった。ただし、リストから外された個々の選手について具体的な理由の説明はないようで、CNNなど報道機関の問い合わせにも回答を拒否している。また、今回リストから外されたからと言って、必ずしもその選手のドーピングが証明されたわけではないらしい。
 
 
Reuters: Figure skating: Two Russians barred from Olympics, hockey players also excluded (January 23, 2018)
The Olympic body said on Tuesday that the exclusion of certain athletes from the list of eligible Russians did not mean they had doped.
 
 
現時点では二人がなぜリストから外されたのかについては憶測の域を出ない(検体に不自然な点があったとか)。おそらく「疑わしきは罰せず」ではなく「少しでも不信を招く材料があったら即アウト」的なポリシーで弾かれたのだろう。二人の平昌五輪参加の許可を嘆願する署名活動も始まった
 
Stolbova選手とBukin選手はスイス、ローザンヌのスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for Sport, CAS)に異議申し立てを届け出たと、28日付けでロシアの報道機関が報じた。ただし五輪開幕まで既に二週間を切っており、今から申し立てても間に合わないと諦めてしまった選手もいると聞く。
 
OAR選手団は今週から五輪開幕までの予定で新潟市で合宿を行っているが、Ksenia Stolbova & Fedor Klimov組とAlexandra Stepanova & Ivan Bukin組は参加していない。
 
 
Ksenia Stolbova & Fedor Klimov FS @ 2018 European Championships
Music: Carmen Suite (Georges Bizet)
 

 
Alexandra Stepanova & Ivan Bukin FD @ 2018 European Championships
Music: Love Story Theme, Love's Dream (Rick Wakeman), Liebestraum (Franz Lizst, performed by Martin Jones)
 

(トラウマになりそうなリーベストラウム…(^_^;)。)
 
 
(おしまい。)

2018年四大陸選手権結果と感想(1)

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競技結果とプロトコル
 
このところ見たい試合が次から次へと追いかけてきてブログを書く時間もあまりないので(笑)、今回は日本選手と平昌五輪に出場する予定のない選手、特にこの四大陸選手権が現役最後の試合になる選手を中心に書いていきたい。
 
フジテレビは年末に地上波・BSCS総動員で全日本選手権のシングル全選手全演技を放送して「フィギュアスケートを純粋なアマチュアスポーツとして放送する予算と時間枠」を使い果たしてしまったのか、四大陸選手権の放送時間は全国ネットでは女子シングルと男子シングルのFS2時間のみという限られたものとなった。ただしその限られた時間の中で、女子FSの前に日本代表(しかも北米以外の国の代表)として初めてアイスダンスのメダルを獲得した村元哉中&クリス・リード組のFDを放送したり、男子はFSでは滑走順が早かったKevin Reynolds選手の演技を最終グループの前に挿入したりと、このスポーツの本当のファンの希望をできる限り反映させようという気持ちが伝わってくる番組構成になっていたのは嬉しかった。私自身は男子・女子シングルのほとんどはライブストリームで見た。
 
 
ではまず男子シングル。
 
Men

 1.  Boyang JIN (CHN)     300.95   *
 2.  Shoma UNO   (JPN)     297.94   *
 3.  Jason BROWN (USA)  269.22  
 4.  Keiji TANAKA (JPN)     260.31   *
 5.  Max AARON (USA)  255.45  
 6.  Misha GE (UZB)                 248.96   *
 7.  Kevin REYNOLDS (CAN)       241.50  
 8.  Elladj BALDE (CAN)            238.20  
 9.  Nam NGUYEN (CAN) 237.52  
10.  Han YAN  (CHN)                 227.93   *
11.  Grant HOCHSTEIN  (USA)     226.39  
12.  Takahito MURA  (JPN)          225.41 
 
* は平昌五輪に出場予定の選手
 
アメリカとカナダからは平昌五輪代表選手の派遣はなかった。
 
 
今季前半は怪我に悩まされて出遅れていたBoyan Jin選手がここへきて一気に調子を上げ、SPFS共に完璧な演技を揃えて優勝した。宇野昌磨選手はSPFS両方にミスがあり、僅差で優勝を逃した。FS4Loの回転不足は正直意外だった。テレビカメラが捕らえたアングルで見る限り十分回っているように見えたし、アメリカのNBC Sports/Olympic Channelの解説でもイギリスのEurosportでも4Loの回転不足の指摘はなかった。NBCの解説はアイスダンスの五輪チャンピオンCharlie White氏だが、宮原知子選手のFSの解説の時は複数の回転不足の可能性を指摘していた。British Eurosportの女性の解説はシングル出身のJoanne Conway氏だが男性はわからない。おそらくこの角度からは何百回見ても回転不足には見えないだろう。他の角度からならはっきりわかったのだろうか。(British Eurosportの解説者達が宇野選手のヒーローが高橋大輔さんであることから始まって、宇野選手の演技が高橋さんに似ているとちょっとノスタルジックに語っているのが興味深かった。)
 
田中刑事選手はメダルまであと一歩で届かなかった。SP3位で折り返したおかげで(笑)、FSの滑走順では宇野選手とJin選手に挟まれた。やはり前半はかなり緊張していたようで、冒頭の4Sの予定がトリプルになり、1本目の3Aがダブルになった時私は心の中で「ひえええ」と叫んだが(^_^;)、田中選手自身は冷静さを失わず後半は予定通りの構成に加えて前半付けそこねた2T3Lzにつける形で回収して演技をまとめた。中盤のステップシークエンスではまだ表情が硬くてキャラクターに入り切れていなかったが、後半4Tの成功後は表情も柔らかくなった。本人にとっては悔しい結果だっただろうが、SPFSともに自己ベストスコアを更新したし、FSは完成まであと一歩だと思う。予定の構成で滑りきれば、このFSTES100点前後に届くはずだ。
 
 
無良崇人選手は全日本選手権でようやく見つかったスイッチが再び行方不明になってしまったようだった。SPでは冒頭に予定していた4Tがダブルになって出遅れてしまった。FSで彼の前に滑ったのはElladj Balde選手が役最後の演技を素晴らしい形で締めくくりアリーナ全体が熱狂に沸く中、リンクサイドで拍手する無良選手の姿をカメラが捕らえた。彼もその雰囲気に乗って良い演技ができればと思ったのだが、また冒頭のトゥループがダブルになり、その直後もう一度4Tに挑んでなんとか着氷には漕ぎ着けたが、前半の失点を後半で取り返すことはできなかった。
 
 
Takahito Mura FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: The Phantom of the Opera (by Andrew Lloyd Webber)
Choreography: Charlie White
 

 
演技後のインタビューで来季に言及していたので、現役続行の可能性はあるのかもしれない。彼は平昌五輪の第一補欠なのでまだシーズンは終わっていないが、オフに入ったら一度心身を休めてから今後のことを考えてほしい。
 
英語の掲示板での海外のフィギュアスケートファンの彼に対する反応は、以前は冷淡とか無関心という印象だったのだが、ここ2シーズンほどで随分暖かくなってきた。その理由の一つは「生で演技を観たらテレビよりもずっと良かった」というもので、今回の四大陸選手権でも他の選手目当てで行ったのに、6分間練習から自ずと目が無良選手を追いかけてしまったと書いた人がいた。実際テレビやネットの観戦と生観戦では見えるものはかなり違う。テレビ映りで得をするスケーターもいれば、テレビではその魅力が十分に伝わらないスケーターもいて、どうやら無良選手は後者のようだ。魅力的なスケーターには違いないが、競技者としてはちょっと優しすぎるのかなと思うこともあるし、その人柄が彼の演技に魅力を与えているとも感じる。
 
 
ここからは競技生活最後の演技を滑走順に紹介したい。
 
 
Kevin Reynolds FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: The Armed Man: A Mass For Peace (Karl Jenkins)
Choreography: Mark Pillay
 

 
地上波放送で西岡孝洋アナウンサーの実況がReynolds選手への尊敬と愛情に溢れていて嬉しかった。更に演技後のインタビューまで流してくれて、自分の競技人生について「幸せな経験だった」と語る彼の言葉が聞けたのは更に嬉しかった。彼のことを知らない一般人は突然の流暢な日本語にさぞ驚いただろうw。
 
 
Grant Hochstein FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: Les Miserables (Claude-Michel Schoenberg)
Choreography: Peter Oppegard
 

 
Elladj Balde FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: I've Been Loving You Too Long (Otis Redding), Get Up Offa That Thing (James Brown), Coming Home (Leon Bridges),Uptown Funk (Bruno Mars)
Choreography: Julie Marcotte
 

 
無良選手の姿が見えるのは5:10あたりから。私はBalde選手の昨季のFSBloodDiamond」がとても好きだったので今季に持ち越してくれてもいいなと思っていたのだが、このように賑やかな雰囲気で幕を下ろすのが彼には似合っているのかもしれない。
 
 
(女子へつづく。)

2018年四大陸選手権結果と感想(2)

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Ladies
 
 1.  Kaori SAKAMOTO  (JPN)             214.21   *
 2.  Mai MIHARA  (JPN)                       210.57  
 3.  Satoko MIYAHARA  (JPN)              207.02   *
 4.  Dabin CHOI  (KOR)                       190.23   *
 5.  Mariah BELL (USA)                      185.84  
 6.  Hanul KIM  (KOR)                         173.10   *
 7.  Starr ANDREWS  (USA)                 172.65  
 8.  Alaine CHARTRAND  (CAN)       172.41  
 9.  Angela WANG  (USA)                    161.04  
10.  Xiangning LI  (CHN)                      160.40   *
11.  Soyoun PARK  (KOR)                  159.48  
12.  Elizabet TURSYNBAEVA  (KAZ)     156.19  *
 
* は平昌五輪に出場予定の選手
 
アメリカとカナダからは平昌五輪代表選手の派遣はなかった。
 

女子は5年ぶりに日本選手が表彰台を独占したが、メディアが予想した並びではなかっただろう。宮原選手は3Lz+3T3Lzで回転不足を取られながらもSPでは首位に立ったが、FSでは回転不足が二つあり、更に3Sで転倒してまさかの3位に終わった。試合後に、1月上旬に左足甲に炎症が生じてジャンプを跳ぶ時痛みを感じていたとの報道があった。四大陸選手権は辞退する選択肢もあったのではないか。昨季も身体に負担をかけ過ぎてシーズン後半を棒に振ったのではなかったか。 
 
優勝した坂本花織選手は強かった。台北入りした当初は右足のうおのめの悪化に悩まされて調子が悪いというニュースが入ってきたし、面白半分で軽薄な記事さえ書かれたりしたが、最終的にはうまく対処できたようでシニア初のISUチャンピオンシップを見事な優勝で飾った。今季は序盤で苦戦したが、試合を重ねる度に強くなっていった。平昌五輪が本当に楽しみだ。
 

2位の三原舞依選手は今回やっとSPLibertango」の完成形を披露することが出来た。私は彼女は全日本選手権前にSPを変更するのではないかと思っていたし、同様な意見は周囲からも出ていたようだが、ここで滑りやすい昨季のプログラムに戻したら自分の表現の幅は広がらないと、あえて「Libertango」を使い続けたらしい。
 
 
Mai Mihara SP @ 2018 Four Continents Championships
Music: Libertango (by Astor Piazzolla)
Choreography: Benoit Richaud
 

 
ばっさり切った前髪が切れ長の目の魅力を引き立てて効果的だなと思った。(FSの時はちょっと邪魔そうだったけどw。)今季の彼女の努力が来季にには大きな果実となって返ってきますように。
 
 
この大会を最後に競技から引退する選手もいれば、この大会がシニアとしての競技人生の始まりとなる選手もいる。アメリカのStarr Andrews選手もその一人で、今回7位と健闘した。全米選手権6位に続き好調を維持している。
 
 
Starr Andrews FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: One Moment in Time (Albert Hammond & John Bettis, performed by Whitney Houston, Starr Andrews)
Choreography: Derrick Delmore
 

 
この「One Moment in Time」はもともとWhitney Houstonによるバージョンがオリジナルなのだが、このプログラムではAndrews選手自身の歌声によるバージョンが使用されている。彼女は当初世界ジュニア選手権への派遣も内定していたのだが辞退しており、その理由はわからない。
 
 
Alaine Chartrand選はなぜこの演技がカナダ選手権でできなかったのかと思っているのは私だけではない筈だし、本人が一番そう思っているだろう(^_^;)
 
 
FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: Sunset Boulevard (Andrew Lloyd Webber)
Choreography: David Wilson
 

 
(おしまい。)

2018年四大陸選手権結果と感想(3)

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Pairs
 
 1.  Tarah KAYNE & Danny O'SHEA  (USA)                             194.42  
 2.  Ashley CAIN & Timothy LEDUC  (USA)                              190.61  
 3.  Tae Ok RYOM & Ju Sik KIM  (PRK)                                    184.98   *
 4.  Liubov ILYUSHECHKINA & Dylan MOSCOVITCH  (CAN)         179.00  
 5.  Deanna STELLATO & Nathan BARTHOLOMAY  (USA)              178.38  
 6.  Ekaterina ALEXANDROVSKAYA & Harley WINDSOR  (AUS)   178.10   *
 7.  Camille RUEST & Andrew WOLFE  (CAN)                             159.73  
 8.  Miu SUZAKI & Ryuichi KIHARA  (JPN)                                157.27   *
 9.  Sydney KOLODZIEJ & Maxime DESCHAMPS  (CAN)                  153.57  
10.  Riku MIURA & Shoya ICHIHASHI  (JPN)                           126.19  
 
* は平昌五輪に出場予定の選手
 
アメリカとカナダからは平昌五輪代表選手の派遣はなかった。また、中国選手の参加もなかった。高橋成実&柴田嶺組は高橋選手の怪我のため早々に棄権が発表された。また、韓国のKyueun Kim & Alex Kang-chan Kam組も直前に棄権した。
 
 
平昌五輪代表の須海羽&木原龍一組はSPではミスを最小限に抑えて7位、FSでは得点減のジャンプ系のエレメンツに苦戦して8位、総合では8位だった。FSでは結構ミスがあったように見えたがそれでもNHK杯に続きパーソナルベスト(PB)を更新したということは、それだけ地力が底上げされたということなのだろう。木原選手の体格がかなりがっしりしてペア男子らしくなってきた。リフトは持ち上げた時から降ろすときまでスケーティングの流れが止まらないようになり、すべてレベル4が取れて加点が付いている。
 
 
Miu Suzaki & Ryuichi Kihara SP @ 2018 Four Continents Championships (no audio)
Music: Yuri on Ice (Taro Umebayashi)
Choreography: Benji Schwimmer and Yuka Sato
 


音楽の著作権で引っかかって動画が削除されるのを防ぐために、この動画はあえて演技中の音声はミュートになっている。ただ、注意深く探すと音声付きの動画も見つかる。自動スクリーニングに引っかかって削除されないように、皆アップローダーもあの手この手を尽くしてアップロードしているようだw
 
須&木原組の魅力を引き出せるのはFSの「Romeo and Juliet」の様な定番曲ではなく、この「Yuri on Ice」や昨季のSPMission Impossibleみたいな現代的でポップなプログラムなのではないだろうか。(正直なぜFSに「Romeo and Juliet」を選んだのかわからない。)欧米のペアとは違う彼ららしいスタイルを築いていけば良いと思う。
 
 
三浦璃来&市橋翔哉組はこれがシニア公式戦デビューとなった。SPはデススパイラルで一橋選手がピボットのポジションを取れずスパイラルとして成立しなくなって0点という痛恨のミス(^_^;)。これがなかったらPBを更新していただろう。FSでは得点源のジャンプでミスが出たのが点数に響いた。最初の3T+2T+2Tの予定が単独の3Tになってしまったので後の2Aをコンビネーションにしなくてはいけなかったのだが、二人とも忘れて2Tを付けなかったのでシークエンス扱いで基礎点から下がってしまった(^_^;)。まあ、これも経験だろうw。正直リフトは見ていてひやひやしてしまった。一橋選手はペア男子としてはまだかなり華奢で、身体作りも含めこのカップルはまだ始まったばかりだ。ちなみにジュニアのFSはシニアよりもリフトが一つ多い。
 
 
Riku Miura & Shoya Ichihashi FS @ 2018 Four Continents Championships
SP: Warsaw Concerto (Richard Addinsel)
Choreography: Julie Macotte, ValerieSaurette
 


とても素敵なプログラムなので、世界ジュニア選手権では西日本選手権の様な素晴らしい演技を見せてほしい。
 

優勝したTarah Kayne & Danny O'Shea組は全米選手権出取り上げたので、ここでは2位のAshley Cain & Timothy LeDuc組を取り上げたい。全米では4位という悔しい結果だったが、この四大陸選手権では納得のいく演技が出来たのではないか。


Ashley Cain & Timothy LeDuc FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: The Great Gatsby soundtrack (Bang Bang, Young and Beautiful, A Little Party Never Killed Nobody)



これまで「The Great Gatsby」は多くのスケーターが使ってきたが、私はこのCain & LeDuc組のプログラムが一番好きかもしれない。このカップルは二人とも長身で柔軟性があり、長い手足で美しいラインを作れるのは見応えがある。ただ長身であるぶんだけユニゾンが乱れると余計に目立つのだが、ペアを結成してまだ二シーズン目にもかかわらず息もぴったりで、これからが楽しみだ。


今回四大陸選手権史上初めて北朝鮮のカップルが銅メダルを獲得した。北朝鮮が直前になって平昌五輪参加を表明したため、台北到着から各国のメディアが彼らに群がった。しかし、試合会場では他の選手達と同じように観客は声援を送り、選手達がSNSに投稿したバンケットの写真から察するに楽しい交流もあったようだ。
 
 
Tae Ok Ryom & Ju Sik Kim FS @ 2018 Four Continents Championships
Music: Je suis qu'une chanson (Diane Justler, performed by Ginette Reno)
Choreography: Julie Marcotte
 

 
五輪村では彼らのプライバシーが守られて競技に集中できることを心から願う。
 
 
Liubov Ilyushechkina & Dylan Moscovitch組にとってはこれが最後の試合となったが、演技の動画を貼るのはあえて控えた。彼らは昨季の世界選手権では元世界チャンピオンのMeagan Duhamel & Eric Radford組を上回り、今季もGPSでも調子は良さそうに見えた。ところが年明けのカナダ選手権ではまさかの4位に終わり、平昌五輪の切符を逃した。英語の掲示板で拾った情報によると、昨年12月にMoscovitch選手が脳震盪を起こし、カナダ選手権までまともに練習できる状態ではなかったらしい。四大陸選手権での演技は練習不足というよりは、まだ脳震盪の影響が残っているかのような痛々しいものだった。33歳のMoscovitch選手はこのまま引退する。26歳のIlyushechkina選手の今後についてはまだわからない。彼女はもともとロシア出身で、平昌に行くために多くのものを犠牲にしてきた筈だ。年齢的には4年後の北京を目指すのは不可能ではない。
 
 
(ダンスにつづく。)
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