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2018年四大陸選手権結果と感想(4)

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Ice Dance

 1.  Kaitlin HAWAYEK & Jean-Luc BAKER  (USA)174.29
 2.  Carolane SOUCISSE & Shane FIRUS  (CAN)164.96
 3.  Kana MURAMOTO & Chris REED  (JPN)163.86  *
 4.  Lorraine MCNAMARA & Quinn CARPENTER  (USA)160.12
 5.  Shiyue WANG & Xinyu LIU  (CHN)158.21  *
 6.  Rachel PARSONS & Michael PARSONS  (USA)155.30
 7.  Yura MIN & Alexander GAMELIN  (KOR)151.38  *
 8.  Sarah ARNOLD & Thomas WILLIAMS  (CAN)140.10
 9.  Haley SALES & Nikolas WAMSTEEKER  (CAN)139.48
10.  Misato KOMATSUBARA & Tim KOLETO  (JPN)138.18
11.  Rikako FUKASE & Aru TATENO  (JPN)124.02
12.  Linshu SONG & Zhuoming SUN  (CHN)122.53
13.  Chantelle KERRY & Andrew DODDS  (AUS)115.62
14.  Matilda FRIEND & William BADAOUI  (AUS)  92.05  

* は平昌五輪に出場予定の選手

アメリカとカナダからは平昌五輪代表選手の派遣はなかった。


実はアイスダンスは時間がなくて日本選手しか見ていない。しかし、この試合はリアルタイムで見たかった。(平日の昼間だったので仕事中にネットで追いかけていた(^_^;)。)村元哉中&クリス・リード組が史上初めて日本のカップルとしてISUチャンピオンシップでメダルを獲得した。アメリカとカナダから五輪代表の参加がなかったとはいえ、これまでアジアの国は北米の牙城にまったく歯が立たなかったことを考えればこれは本当に画期的なことだった。


Kana Muramoto & Chris Reed FD @ 2018 Four Continents Championships
Music: The Last Emperor (Ryuichi Sakamoto), Merry Christmas Mr. Lawrence (Ruyichi Sakamoto)
Choreography: Marina Zueva, Massimo Scali



ここに紹介したのはアメリカのNBC Sports/Olympic Channel放送の動画だが、イギリスのEurosportでも大絶賛だった。私は村元選手がシングルスケーターだった頃を覚えているが、まさか後に日本のアイスダンスを牽引して歴史を作る存在になるとは思いも寄らなかった。このFDは欧州とも北米とも違う日本のアイスダンスの存在を知らしめるに相応しいプログラムだと思うし、これが五輪シーズンのプログラムなのが本当に嬉しい。


小松原美里&ティム・コレト組はFDではパーソナルベストを更新したが、一番の目標としていたSDでの世界選手権出場に必要なTESの獲得は果たせなかった。この宿題は今週(というか今この記事を書いている数時間後w)のMentor Torun Cupまで持ち越しとなる。


Misato Komatsubara & Tim Koleto FD @ 2018 Four Continents Championships 
Music: Where is it Written? (from Yentl soundtrack, by Barbra Streisand), Sabrina: End Credits (by John Williams), A Piece of Sky (from Yentl soundtrack, by Barbra Streisand)
Choreography: Christopher Dean



深瀬理香子&立野在組もFDでは世界選手権出場に必要なTESは既に持っている。彼らも今週末Mentor Torun Cupに出場する。


Rikako Fukase & Aru Tateno FD @ 2018 Four Continents Championships
Music: Hello, Dolly! (musical by Jerry Herman)
Choreography: Romain Haguenauer



今回の四大陸選手権は来季以降第一戦で活躍するであろうカップルが多くて実はとても楽しみだったのだが、いかんせん録画を見る時間がない(^_^;)。今シーズンが終わったらゆっくり見ようと思う。


(おしまい。)

2018 Bavarian Open 競技結果

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競技結果とプロトコル

Senior Ladies
1.  Rin NITAYA  (JPN)185.44
2.  Yura MATSUDA  (JPN)165.42
3.  Nathalie WEINZIERL  (GER)156.82  
4.  Elisabetta LECCARDI  (ITA)155.95
5.  Alissa SCHEIDT  (GER)141.66

Junior Men
1.  Kazuki KUSHIDA  (JPN)193.06
2.  Shun SATO  (JPN)183.34
3.  Adam SIAO HIM FA  (FRA)183.22
4.  Nikolaj MAJOROV  (SWE)176.31
5.  Jonathan HESS  (GER)175.87

Junior Ladies
1.  Tomoe KAWABATA  (JPN)169.05
2.  Rinka WATANABE  (JPN)164.36
3.  Pooja KALYAN  (USA)156.45
4.  Selma IHR  (SWE)144.63
5.  Ann-Christin MAROLD  (GER)139.27

Advanced Novice Boys
1.  Kao MIURA  (JPN)130.81
2.  Nicos Jaron MARTICK  (GER)102.29
3.  Davide CALDERARI  (GER)101.58
4.  Mozes Jozsef BEREI  (AUT) 92.10
5.  David LOBANOV  (GER) 91.50


動画はないので、結果のみ。

某英語の掲示板で、全日本選手権11位、12位がドイツで試合してドイツのトップ女子にあっさり勝ってしまうのかと溜息をついていた人がいた。(3位のNathalie Weinzierl選手は今季ドイツ選手権2位、昨季は1位。)すいませんね、日本女子も大変なんだよ(^_^;)。新田谷凜選手が(ロシア以外の)ヨーロッパの選手だったら今頃韓国に向かっているだろう。

ジュニア男子で優勝した櫛田一樹選手(全日本ジュニア選手権4位、全日本選手権17位)は、実は私は今季初めてその存在に気がついた。もともとジュニアはそれほど熱心に追いかけていないのだが、それでもJGPSに派遣されたことのある選手くらいは漠然と記憶に残るし、女子に比べて男子は数が少ないので記憶から漏れることはほとんどない。ところが櫛田選手はまったく見たことがなかったので過去の成績を調べてみたら、昨季は全日本ジュニアSP27位でFSには進めず、一昨季は全日本ジュニア13位だった。全日本の実況から察するに昨季は怪我をしていたようだ。それにしてもこの上昇のしかたはエグいw。全日本では決まらなかった3Aが、このBavarian OpenではSP・FS共に成功している。オーベルストドルフは標高が815 mあるのだが、それも影響したのだろうか。櫛田選手は倉敷FSCの出身で現在のコーチは長光歌子氏と林祐輔氏、つまり高橋大輔さんにルーツを持つ系統の選手になる。今季は田中刑事選手がオリンピックに、ジュニアの三宅星南選手がジュニア世界選手権に出場するし、単なる偶然かもしれないがこの系統の選手の躍進が著しいのが興味深い。彼は現在高校3年生で、全日本の実況によると来季はシニアに上がるつもりのようだが、ISUのルールでは来季もジュニアに残ることは可能だ。シニアに上がる前にJGPSに出場しておくのも悪くないと思うが、さてどうするだろうか。男子では大学一年生までジュニアに残る選手は珍しくないし(田中選手然り)、女子の場合JGPSに出場して国内でのみシニアに上がる場合もある(昨季の新田谷選手)。


(おしまい。)

2018 Mentor Torun Cup 結果と感想(1)

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競技結果とプロトコル
 
この大会はポーランドスケート連盟が毎年ライブストリームとオンタイムでアップデートするリザルトページを用意してくれるのでとてもありがたい。日本の小松原美里&ティム・コレト組と深瀬理香子&立野在組、そしてオーストラリアのChantelle Kerry & Andrew Dodds組には台湾の四大陸選手権から連戦となった。
 

Senior Ice Dance

 1.  Natalia KALISZEK & Maksym SPODYRIEV  (POL)        174.28   *
 2.  Lilah FEAR & Lewis GIBSON  (GBR)                           158.99  
 3.  Anna YANOVSKAYA & Adam LUKACS  (HUN)             158.51  
 4.  Misato KOMATSUBARA & Tim KOLETO  (JPN)            147.86  
 5.  Rikako FUKASE & Aru TATENO  (JPN)                         143.19  
 6.  Chantelle KERRY & Andrew DODDS  (AUS)                      138.49  
 7.  Justyna PLUTOWSKA & Jeremie FLEMIN  (POL)  136.56  
 8.  Adel TANKOVA & Ronald ZILBERBERG  (ISR)     134.71   * 
 9.  Yuliia ZHATA & Yan LUKOUSKI  (UKR)               134.21  
10.  Teodora MARKOVA &Simon DAZE  (BUL)    121.99  
11.  Yuka ORIHARA & KanataMORI  (JPN)                    117.89  
12.  Katjuscha Anna ALWART& Arturas GANZELA  (LTU)   85.19

* は平昌五輪に出場予定の選手。
 

Junior Ice Dance

 1.  Mariia KAZAKOVA &Georgy REVIYA  (GEO)               132.07  
 2.  Maria GOLUBTSOVA &Kiril BELOBROV  (UKR)         129.97  
 3.  Julia WAGRET & MathieuCOUYRAS  (FRA)                  121.84  
 4.  Alexandra PLETNEVA &Andrey FILATOV  (RUS)         118.85  
 5.  Loica DEMOUGEOT & TheoLE MERCIER  (FRA)       116.46  
 6.  Lara LUFT & AsafKAZIMOV  (GER)                              113.67  
 7.  Haruno YAJIMA & DaikiSHIMAZAKI  (JPN)                  112.14  
 8.  Charise MATTHAEI &Maximilian PFISTERER  (GER)  110.21  
 9.  Mathilde VIARD & RenanMANCEAUX FRA                     109.20  
10.  Karyna SIDARENKA &Maksim YALENICH  (BLR)       108.43  
 
 
この大会はアイスダンスで世界選手権と世界ジュニア選手権の出場に必要なTESを獲得する事実上最後のチャンスになるので、崖っぷちの気分で臨む選手も少なくない(^_^;)。一方、ジャッジパネルは事情を考慮してやや気前が良いようだ。

 
出場に必要なアイスダンスのミニマムTES(2017-2018シーズン)
                                       SD         FD
-------------------------------------------
世界選手権                 29          39
五輪/欧州/四大陸選手権1929
世界ジュニア選手権        18         28

 
今回の日本の最重要任務はジュニアの矢島榛乃&嶋崎大暉組に世界ジュニア選手権の出場に必要なTESを獲得させることだった。彼らは国際大会の出場経験がまったくなかったからだ。昨季の世界ジュニアで13位に入った深瀬&立野組のおかげで今季のJGPSの枠は使い切れないほどあったのに、アイスダンスには誰も派遣しなかった。(正確には吉田唄菜&杉山匠海組のみ派遣する予定だったのが、シーズンが始まる前に吉田&杉山組が解散した。)次に重要な任務は小松原&コレト組と深瀬&立野組に世界選手権の出場に必要なSDTESを獲得させることだった。両組ともFDTESは既に持っていたがSDはいずれの組も取れておらず、つまり日本は世界選手権補欠の条件を満たすカップルがいなかった。結論から先に言うと、任務はすべて成功に終わった。矢島&嶋崎組のTESSD28.13 FD30.51、小松&コレト組のSDTES32.70、深瀬&立野組のTES32.77だった。

 
Haruno Yajima & Daiki Shimazaki SD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: Chilly Cha Cha, ?
Choreography: Natalya Linichuk
 

 
Haruno Yajima & Daiki Shimazaki FD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: Jumping Jack (Big Bad Voodoo Daddy), Minnie The Moocher (performedby Big Bad Voodoo Daddy)
Choreography: Natalya Linichuk
 

 
矢島&嶋崎組はSDでは6位だったのだが、FDではツイズル(STw)がレベル2になって10位、総合では7位となった。STwは全日本ではレベル4だったので、これだけで基礎点が2.00違う。(ただし、この動画を見る限り2までレベルが下がった理由がよくわからない。)410位までは本当に僅差で、わずかなミスで目まぐるしく順位が入れ替わった。
 
 
Misato Komatsubara & Tim Koleto SD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: Ahora Quien (Mark Anthony), Samba Do Brasil (Bellini)
Choreography: Christopher Dean, Corrado Giordani, S. Bourne
 

 
Rikako Fukase & Aru Tateno SD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: Senorita Bonita (Tape Five), Tequila Song (The Champs),Querico el mambo (Perez Prado)
Choreography: Romain Haguenauer
 

 
今回シニアで崖っぷちからの脱出に成功したのはイスラエルとオーストラリアの2国。イスラエルは去年の世界選手権でIsabella Tobias & Ilia Tkachenko組が五輪枠を獲得したが、Tkachenko選手がイスラエルの市民権を取得できず五輪に出場できなくなった。Adel Tankova & Ronald Zilberberg組が繰り上がって平昌に行くことになったが、世界選手権出場に必要なTESはまだ取得していなかった。オーストラリアは五輪枠はない。
 

(つづく。)

2018 Mentor Torun Cup 結果と感想(2)

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今回実は一番楽しみにしていたのは折原裕香&森望組(全日本選手権4位)だった。念願のJAPANジャージを着ての初の国際大会で、彼らがどのような評価を受けるか期待半分心配半分だった。


Yuka Orihara & Kanata Mori SD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: Hoy Es Adios, A Gozar Timbero
Choreography: Megan Wing, Aaron Lowe



リフトだけが残念だったが(全日本ではレベル4、今回レベル2)、それ以外は確実にレベルを上げているようだ。


Yuka Orihara & Kanata Mori FD @ 2018 Mentor Torun Cup
Music: La La Land (soundtrack)
Choreography: Megan Wing, Aaron Lowe



そこここでひやっとしたが(^_^;)、最後まで勢いよくガンガン攻めて良い演技だったと思う。女性が動きが大きく表情が華やかで男女のバランスがとても良いカップルだと思うのでこれからも頑張ってほしい。

折原&森組のTESはSDが25.64、FDが36.07。来季のミニマムTESは今季が終わってから改めて定められるが、おそらく大きく変わることはないと思われる。


矢島&嶋崎組は来季シニアに上がるので、日本は国際レベルのカップル5組が競うことになる。


(おしまい。)

平昌オリンピック情報(リンク)

2017-2018シーズン解散・引退・その他(3)

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【引退】Zijun Li(李子君)(21歳)
 

中国のZijun Li選手が昨年末に引退していたことが、2月の始めに中国のスポーツニュースサイトから報じられた。
 
今季は昨年腰の怪我のためGPSを棄権し、その後は沈黙を守っていた。中国はいつもISUチャンピオンシップやオリンピックの派遣選手の選考基準や課程が不透明で、今季もその例に漏れなかったのだが、12月に入って彼女は帰郷しており平昌五輪に行く可能性はないとの噂が流れてきた。結局そのまま引退してしまったようだ。
 
 
私が彼女の存在に気付いたのは5年前の大阪開催の四大陸選手権だった。British Eurosportsの解説者が彼女の才能に驚喜し、世界チャンピオンになれる才能の持ち主と絶賛したのを覚えている。
 
 
Zijun Li FS @ 2013 Four Continents Championships
Music: Sleeping Beauty (Pyotr Ilyich Tchaikovsky)
Choreography: Lori Nichol
 

 
しかしその後体系変化の時期に入ったのが、翌シーズン(ソチ五輪シーズン)から成績が低迷し始める。あまりに厳格な体重管理の結果、スケーティングにパワーがなくなり、ジャンプの回転不足に悩まされ、FSの途中でスタミナ切れを起こすようになった。やがて中国スケート連盟のコーチ達とも意見が合わなくなったらしく、昨シーズンはロシアのAlexei Mishinコーチの下へ移ったが、成績不振のまま世界選手権では21位に終わった。(14位に入ったXiangning Li選手が平昌五輪の中国女子の1枠を死守した。)結局4月の東京開催の国別対抗戦が彼女の現役最後の試合となった。
 
 
Zijun Li FS @ 2017 World Team Troophy
Music: Only For Love (Tan Dun)
Choreography: Lori Nichol
 

 
私はこの演技を代々木体育館で観たのだが、美しいけれど儚げで弱々しい印象の方が強く残った。2013年の国別対抗戦で見た愛らしく無邪気な明るさは見る影もなかった。そして昨年の腰の怪我でとうとう心が折れてしまったのだろうというのがファン達の見解のようだ。
 
彼女の今後の人生プランについては不明だが、再び心からの笑顔を見せられるようになってくれればと願うばかりだ。
 
 
(おしまい。)

スポーツ仲裁裁判所(CAS)ロシア選手の訴えを却下

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以前書いたこの記事の続報。
 
ローザンヌのスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for Sport, CAS)はIOCにより平昌五輪参加を禁止されたロシア選手47人による不服申し立てを却下した。
 
毎日新聞:<CAS>露47人の訴え退ける 五輪除外、不服認めず29日)
 
以下のロシア語の記事にペアのKsenia Stolbova選手とアイスダンスのIvan Bukin選手の名前も記載されている。
 
CAS denied 47 Russian athletes a suit for non-admission to the Olympics-2018Google自動翻訳 29日)
 
ドーピングは厳格に取り締まるべきだが、今回IOCは個々の選手について参加禁止の理由を明らかにしておらず、選手側が一方的に名誉を傷つけられた形になっている。これが果たして公平中立な判断なのか疑問に思わずにはいられないし、五輪という興業そのものが政治と利権が絡みすぎて既に限界を迎えているような気がするのは私だけだろうか。
 
 
(おしまい。)

2018 Challenge Cup エントリー

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公式ウェブサイト(22225日、オランダ ハーグ)
ライブストリームもここから見られる。

 
エントリー(情報源
 
【シニア男子シングル】 日野龍樹、鈴木潤
【シニア女子シングル】 樋口新葉、本郷理華、本田真凜、
【ジュニア男子シングル】 木科雄登、山隈太一朗
【ジュニア女子シングル】 荒木菜那、横井ゆは菜
Advanced Novice Boys】 垣内珀琉、中村俊介
Advanded Novice Girls】 吉田陽菜、手嶋里佳、横井きな結、
 

シニア女子は顔ぶれが豪華すぎてまるで裏五輪状態(^_^;)。日野龍樹選手はこれで今季3つめのB級になるのでちょっと驚いた(嬉しいけど)。鈴木潤選手はこれがシニアに上がって初めての国際大会だろうか?ジュニア男子は共に個人的に注目している選手なのだが、今季はちょっと悔しいシーズンになったので、ここで良い演技ができるように祈りたい。
 
 
(おしまい。)

平昌オリンピック団体戦――結果と感想

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競技結果とジャッジスコア
(結果の表の下半分が団体戦)
 
イメージ 1

 
団体戦を見終わった時点で既に疲れている(^_^;)
 
実質的にロシア、アメリカ、カナダの三強がメダルの色を争うものと思われたので、現実的な判断を下してトップ選手を個人戦に温存した国もあった。フランスはアイスダンスのGabriella Papadakis & Guillaume Cizeron組を出さなかったし、中国も男子シングルのBoyang Jin選手とペアのWenjing Sui & Cong Han組はエントリーしなかった。この2ヶ国は予定通り予選(SP/SD)で敗退した。日本も羽生結弦選手を個人戦に温存した。
 
ここでは中国人選手をISU登録名で書いているが、オリンピックの放送では日本語読みになったので正直違和感があった。日本コンソーシアムではフジテレビの中村光宏アナウンサーが全競技の実況を担当したのだが、競技ルールや各選手の下調べも万全で、安定と信頼のフジクオリティ(フィギュアスケート限定)が嬉しかった。NHKBS1の放送は会場音と実況解説のバランスが悪くて音楽がよく聞こえず、地上波の音声の方が臨場感があった。TESカウンターが簡易版になって各エレメンツの詳細がわからなかったのは残念だった。すっかり全日本や四大陸選手権の親切なTESカウンターに慣れてしまっていた。まさかフジテレビに甘やかされた(笑)と実感する日がくるとは思わなかった。
 
 
ペアとアイスダンスが弱い日本がメダルを獲るのは極めて難しいとはわかっていたが、予選(SP/SD)の結果は1位カナダ(35ポイント)、2OAR31点)、3位アメリカ(29点)、4位日本(26点)、5位イタリア(26点)とまずまずの滑り出しだった。男子は目を覆いたくなるような大自爆大会となってしまったが、その原因として五輪独特の緊張感の他に、①午前10時という国際A級大会ではありえない競技開始時刻、②柔らかい氷が挙げられていた。その中で大きなミスなくまとめた宇野昌磨選手は流石だった。本人は全日本選手権の方が緊張したと言っていた(^_^;)
 
ペアの須海羽&木原龍一組(SP8位)とアイスダンスの村元哉中&クリス・リード組(SD5位)は予選で自分達の実力を十分発揮し稼げる限りのポイントを稼いだ。ペアSP9位のイスラエルのカップルは須崎&木原組よりも高いパーソナルベスト(PB)を持っているのだが、女性が思いがけずステップシークエンスで転倒したのが大きな失点に繋がり、須崎&木原選手はその好機を逃さなかった。SP/SDの滑走順はISUランクの低い選手からの順番で、四大陸選手権銅メダルのポイントが効いて村元&リード組は第二グループの第一滑走者となった。同グループの他のカップルは皆世界選手権のメダル持ちで、団体戦とはいえ村元&リード組もここまで来たかと6分間練習では感慨深いものがあった。
 
 
五輪の動画は著作権の取り締まりが厳しくYouTubeにアップされてもすぐ削除されてしまうのだが、NHKが公式動画をアップしてくれたのでここに紹介しておく。(須崎&木原組のSPは音楽の著作権の心配もせずに住むので二重に嬉しい。NHK公式なので海外からも見られるのかはわからないけれど。)
 
 
Miu Suzaki & Ryuichi Kihara SP @ 2018 Winter Olympic Games
Music: Yuri on Ice (Taro Umebayashi)
Choreography: Benji Schwimmer, Yuka Sato
 

 
Kana Muramoto & Chris Reed SD @ 2018 Winter Olympic Games
Music: Cha Cha: I Like It Like That (by Pete Rodriguez)
         Rhumba: Mondo Bongo(by Joe Strummer)
         Samba: Batucada deSambrasil (by Estudios Talkback)
Choreography: Marina Zueva, Massimo Scali
 

 
予選(SP/SD)で唯一以外な結果となったのは女子シングルの宮原知子選手が4位になったことだろう。コンビネーションジャンプで二つとも回転不足と判定されてTESが伸びなかったが、私自身はそれほど驚かなかった。彼女の前に滑ったCarolina Kostner選手のスコアを見て、五輪といえども今回のテクニカルパネルはきっちり取り締まるんだなと思ったし、女子シングルの前に行われたアイスダンスSDのテクニカルパネルもかなり厳しかったからだ。(首位のTessa Virtue& Scott Moir組がパターンダンスでレベル2だった。)宮原選手のコンビネーションはリアルタイムで見ていたときは3Lz+3t<に見えたが、別角度からのスロー再生では3Lzの回転も足りないように見えたので、もしかしたら3Lz<+3Tになるかなと思った。だから3L<+3T<の判定でも仕方ないと思った。ISUテクニカルスペシャリストの岡崎真氏がこの判定に疑問を投げかけているようだが、他人の判定について語る前に全日本選手権での彼自身の判定について説明してほしい。
 
興味深いことに平昌五輪の女子のテクニカルパネル昨年のSkate Americaのメンバーとまったく同じなのだ。だから宮原選手のファンの中にはSkate Americaと同じように平昌五輪でも彼女の回転不足が大方見逃されるのを期待した人もいたようだが、団体戦では対照的な判定となった。
 
Technical Controller: Susan LYNCH            
Technical Specialist: Jae-Eun CHUNG         
Assistant Technical Specialist: Evgeny MARTYNOV
 
Kaetlyn Osmond選手がコンビネーションジャンプで3F3Tの間に軽くフリーレッグのトゥが氷に着いた件で、あれはコンビネーションジャンプとして成立せず3Tは無効になるのではないかという意見が出ていたが、トゥが着いても体重の移動がなければその後のジャンプは無効にはならないとのこと。
 
 
決勝(FS/FD)でペアとアイスダンスが5位(最下位)になることは想定内で、むしろ問題は演技内容だった。須崎&木原組は得点源の3T+2T+2Tの予定で須選手が3T<<になってしまった後、彼女の集中力まで途切れてしまった。去年の四大陸選手権のFSほどの崩れ方ではなかったが、ジュリエットの仮面が外れて不安な須選手自身が表に現れてしまった。村元&リード組はサーキュラーステップシークエンスの途中でクリス選手が転倒してしまった。彼のこんなミスを見たことがなかったのでかなりびっくりした。3度目の五輪といえどもやはり緊張したのだろうか。五輪初出場でありながらパートナーのミスにもたじろがない村元選手の度胸の良さを改めて頼もしく思ったし、彼女がアイスダンスに転向してくれて良かったと改めて思った。
 
その一方で、男子・女子シングルでも最下位に終わったのは残念だった。田中刑事選手が緊張しているのは冒頭からわかった。注目している選手の場合プログラムの中にチェックポイントのような箇所があり、それで選手の調子が読めることが結構ある。冒頭のパントマイムの後ふいっと右を向いて滑り出したとき肩に力が入って背中が硬くなっているような気がして、これはあまりよくないなと思ったのだが、実際には私の予想を遙かに超えて緊張していたようだ(^_^;)。こんな彼を見たのは昨年の世界選手権以来だろうか。世界選手権での悔しさをバネにして五輪出場枠を獲得したように、この団体戦での経験を個人戦に生かしてほしい。坂本花織選手もかなり緊張していたようだが、シニアの世界選手権の経験もない若い選手が最後まで冷静さを失わず健闘したと思う。女子はとにかく総じてレベルが高かった。第一滑走のアメリカの長洲未来選手が3Aを成功させたのを皮切りに、最後まで好演技が続いた。私は坂本選手について田中選手ほどには心配していない(^_^;)
 
 
素晴らしい演技もたくさんあったが、個人的に一番記憶に残ったのはペアFS2位のValentina Marchei & Ondrej Hotarek組だった。技術レベルの高さもさることながら、プログラムの作品としての完成度が高く、これが競技だということをしばし忘れてしまった。現在Marchei選手は31歳、Hotarek選手は34歳なので、今季が二人にとって最後のシーズンになる可能性が高い。このカップルはソチ五輪後のシーズンに結成し、今季でまだ4シーズン目なのだ。正直もう少し彼らの演技を見ていたい。
 
実況でも触れていたが、Marchei選手はソチ五輪にシングル選手として出場していた。SPは今季男子シングルのMatteo Rizzo選手も使っていた「Torno A Surriento(帰れソレントへ)」で、振付師は今回村元&リード組のコーチとして日本選手団に加わっているMassimo ScaliScali氏は田中刑事選手の振付師でもある。今回の団体戦では日本とイタリアの応援席は隣同士で、仲良く互いの選手を応援し合っていたのが微笑ましかった。

 
(おしまい。)

2018年平昌冬季オリンピック結果と感想【男子シングル】

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競技結果とプロトコル

1.  HANYU Yuzuru  (JPN)317.85
2.  UNO Shoma  (JPN)306.90
3.  FERNANDEZ Javier  (ESP)305.24
4.  JIN Boyang  (CHN)297.77
5.  CHEN Nathan  (USA)297.35
6.  ZHOU Vincent  (USA)276.69
7.  ALIEV Dmitri  (OAR)267.51
8.  KOLYADA Mikhail  (OAR)264.25
---------------------------------------
18.  TANAKA Keiji  (JPN)244.83


日本は金銀の大快挙。平昌五輪における日本スケート連盟(JSF)の最大の使命は羽生結弦選手の2連覇を果たすことだったから、そのミッションは大成功に終わったと言える。そのために彼らは羽生選手の全日本選手権免除、団体戦回避と力の及ぶ限り彼の負担を軽減し、彼をストレスから隔離することに務めた。逆に言えば、これで彼が優勝しなかったら結構気まずい雰囲気になっていたのではないか。

昨年10月NHK杯の公式練習で自分の能力を越える4Lzに挑戦して右足首を捻挫した羽生選手は、あえて高難度のクワドに賭けることは避け、確実な4Tと4SでGOEを稼ぐ作戦を取った。それは二つの理由で成功した。一つはNathan Chen選手がプレッシャーに押しつぶされてSPで大自爆して大きく出遅れてしまったこと。もう一つは宇野昌磨選手が団体戦からの連戦で消耗していたこと。

宇野選手に「団体戦で疲れていたか」と尋ねたら、別にそんなことはなかったと堪えるかもしれない。五輪だからといって何の感慨もわかず、最後まで他の試合と同じだったというのも彼の正直な本音だろう。彼が疲れているなと私が思ったのはFSの6分間練習で4Loに苦戦していた時だった。四大陸選手権での回転不足判定に釈然としていなかった私は、五輪でも同じ判定になるのではないかと気がかりだった。しかしいざ試合が始まったら、回転部不足どころの話ではなくなっていた。そして冒頭の4Loの転倒が羽生選手との勝敗を分けた大きな要因の一つとなった。

最初の個人戦はペアだったので(団体戦SPが9日、FSが11日、個人戦SPが14日)、団体戦の疲れを引きずって一番苦労するのもペアかと思ったのだが、あまり時間が開かなかったのがむしろ幸いしたのか、団体戦で盛り上がったテンションのまま上手く個人戦に突入したような印象を受けた。団体戦に出て個人戦でパーソナルベストを更新したカップルも多かった。男子は団体戦から中途半端に間が開いて(団体戦FSが9日、FSが12日、個人戦SPが16日)、女子の様に一度日本に戻って調整するには短すぎた。(ロシア女子も合宿地の新潟に戻っている。)

単に試合数が多くて疲れるという意味ではない。選手村の施設は民間のホテルほど快適ではなさそうだし、報道陣の数も桁違いでノイズも多かっただろう。公式会場以外のリンクでも練習していたようだが、そういう慣れない環境のファクターの一つ一つが時間を経るに連れて積み重なり選手を消耗させていったのではないか。五輪はアスリートにとって最高の舞台かもしれないが、必ずしも最高の演技ができる環境が整った舞台ではない。

だから今回JSFが羽生選手に団体戦を回避させたのは成功だったと言えるだろうし、Javier Fernandez選手が銅メダルを獲得できたのも、スペインが団体戦に出られなかったのが幸いしたこともあったのではないか。ちなみにFernandez選手のFS後半のサルコウすっぽ抜けは、私には想定の範囲内だった。以前に何度も同じ試合展開を見た記憶があったからだ(^_^;)。これまで母国スペインのフィギュアスケートを文字通り一人で牽引してきた彼は、これが最後の五輪だという。

Nathan Chen選手のSP17位からの巻き返し(FS1位、総合5位)に、4年前のソチ五輪の浅田真央選手を重ねた人は多かったようだ。しかし、もしChen選手がSPで善戦してFSで最終グループに入っていたら、今回のような演技ができただろうか。ソチの浅田選手にしても今回のChen選手にしても、もう失うものは何も残されていなかったこそ、あれだけの演技ができたのではないだろうか。
彼は大人びて見えるけれどまだ18歳なんだよなあと改めて思った。Boyang Jin選手の方が年上と指摘されて「えっ?」と思ったら、彼は既に20歳になっていた(^_^;)。私は英語はわかるが中国語はまったくわからないので、余計にJin選手に幼い印象を持っていたのかもしれない。五輪シーズンに安全な定番曲やリサイクルプログラムを選んだ選手が多い中、二人とも個性的なプログラムを用意してファンを楽しませてくれた。これからもその姿勢を貫いてほしい。

Patrick Chan選手が団体戦でSP・FS両方を滑ったのは、個人戦でメダルを獲るのは無理だとわかっていたので、団体戦で確実に金メダルを獲るためだったと聞いた。(Keegan Messing選手には気の毒だったが。)今回の演技からはかつてのような覇気は感じられなかったけれど、やはり彼のスケーティングは別格だと思ったし、今後シングルでこのレベルのスケーティング技術を持った選手は二度と現れないだろう。(FSで彼のSSが上から4番目だったことについて、チームメイトのMeagan Duhamel選手がTwitterで憤慨していた。)

団体戦でがっちがちに(^_^;)緊張していた田中刑事選手は、団体戦FS→個人戦SP→個人戦FSと回を重ねるごとに本来の自分の演技を取り戻していった。五輪までの道のりは果てしなく長かったけれど、五輪そのものはあっという間に終わったのではないか。彼を含む多くの選手達にとって、この五輪は一つの通過点に過ぎず既に次のステップが待っている。遅く咲いた(正確には7年前16歳で一度咲きかけたがその後怪我なども重なって蕾に戻ってしまった)選手だからこそ、長く咲き続け更に大きく咲いてほしい。


昨日の試合終了直後から、羽生・宇野両選手は記者会見やメディア出演が続いているようで、おそらくあまり睡眠時間も取れていないだろう。来月の世界選手権について出場するかについて、羽生選手は「選手生命を脅かすほどの捻挫」のため未定だという。宇野選手は確実に世界選手権に出場する予定なので、メディア対応からは早々に解放してあげてほしい。団体戦からの長丁場で疲れているだろうし、IOCの記者会見でも明らかに眠そうだった。彼のインタビューはそのユニークな視点と感性が垣間見えて聞く側としてはとても面白いのだが(「外見は萩尾望都だが中身は川原泉」と呟いている人がいて大爆笑しながら納得したw)、せめて世界選手権が終わるまではそっとしておいてあげてほしい。彼は消費されるべきコンテンツではなく、大きな責任を負った一人のトップアスリートだ。

今回日本を練習拠点にする選手が日本人コーチの指導の下日本人が振り付けたプログラムで五輪のメダルを獲得した意義は大きい。宇野選手の銀メダルは一人の日本人の功績に留まらず、より大きなものを日本の次世代へ残せる可能性を示している。


(おしまい。)

2018年平昌冬季オリンピック結果と感想【女子シングル】

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競技結果とプロトコル

1.  ZAGITOVA Alina  (OAR)239.57
2.  MEDVEDEVA Evgenia  (OAR)238.26
3.  OSMOND Kaetlyn  (CAN)231.02
4.  MIYAHARA Satoko  (JPN)222.38
5.  KOSTNER Carolina  (ITA)212.44
6.  SAKAMOTO Kaori  (JPN)209.71
7.  CHOI Dabin  (KOR)199.26
8.  SOTSKOVA Maria  (OAR)198.10


平昌五輪全体を通してフィギュアスケートの会場は空席が目立った。冬季五輪最大の華である筈の女子シングルでさえ主のない青い椅子があちこちに見えたし、ペアやアイスダンスに至っては客席はかなり寂しい眺めだった。大量の空席の大きな一因は午前10時という非常識に早い競技開始時間だと言われている。結局このとんでもない試合スケジュールのおかげで選手達は調整に苦労し、運営側はチケットが売れず、美味しい思いをしたのはアメリカNBCだけだったようだ。しかしそのアメリカでは自国の女子の成績が振るわなかったため(9~11位)、NBCでの視聴者数はソチ五輪よりも25%少なかった(ソチ2030万人、平昌1520万人)。ちなみにKaren Chen選手はまたもやスケート靴のトラブルを抱えていたらしい。

私は21~23日出張だったので、目的地への移動中にSPが始まり、その日の夜にかろうじてトップ6の演技だけテレビで見ることができ、帰りの新幹線に乗る頃には既に競技が終わっていた。その間にChallenge Cupも始まったため、溜まりに溜まった録画をまだ全部見られていないし(^_^;)、ジャッジスコアも詳しく見ていない。団体戦と個人戦でジャッジパネルは同じなのだが、テクニカルパネルの判定は個人戦では団体戦ほど厳しくはなかったようだ。女子シングルについては既にメディアやSNSで散々語られているだろうから、これと言って書くべき新しいネタもないだろう。

日本の宮原知子選手(19歳)と坂本花織選手(17歳)はそれぞれ4位、6位で入賞を果たした。宮原選手は初出場の雰囲気に飲まれることもなく堂々とした演技だったが、坂本選手の方はFSでは少し緊張しているように見えた。

優勝は予想通りAlina Zagitiva選手(15歳)とEvgenia Medvedeva選手(18歳)の間で争われた。今回二人だけ別次元で争っていたが、4年後彼女達が北京の五輪に戻って来られる可能性はむしろ低いだろう。同じEteri Tutberidze門下で優秀なジュニア、ノービス選手が続々と育っているし、彼女達が「妖精」でいられる時間はもうあまり残っていない。

そんな中でKaetlyn Osmond選手(22歳)の銅メダルは嬉しかった。彼女はいわば宮原選手とは対極にある選手だ。成長した大人の女性の身体でジャンプを完全に回りきるためにトップスピードで踏み切らなければならないが、スピードがある分だけリスクも大きく、シーズンを通して安定した成績を残すことは難しい。今季のカナダ選手権ではGabrielle Daleman選手に敗れて国内チャンピオンの座を明け渡している。豪快に転倒する分だけ怪我も多かった選手だが、人生で一番大事な試合で一番良い演技をすることができた。二十歳を過ぎた選手達に希望を与える銅メダルとなったのではないだろうか。


(おしまい。)

2018年平昌冬季オリンピック結果と感想【ペア】

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競技結果とプロトコル

1.  SAVCHENKO Aljona & MASSOT Bruno  (GER)235.90
2.  SUI Wenjing & HAN Cong  (CHN)235.47
3.  DUHAMEL Meagan & RADFORD Eric  (CAN)230.15
4.  TARASOVA Evgenia & MOROZOV Vladimir  (OAR)224.93
5.  JAMES Vanessa & CIPRES Morgan  (FRA)218.53
6.  MARCHEI Valentina & HOTAREK Ondrej  (ITA)216.59
7.  ZABIIAKO Natalia & ENBERT Alexander  (OAR)212.88
8.  YU Xiaoyu & ZHANG Hao  (CHN)204.10
-----------------------------------------------------------
-.  SUZAKI Miu & KIHARA Ryuichi  (JPN)FNR


ペアは須海羽&木原龍一組のSPとトップ6組のFSしか見ていない。FSはその6組しか放送されなかったし、SPはNHKが直前に放送時間を変更したために録画し損ねたからだ。ISUチャンピオンシップの演技ならYouTubeで見られるが、五輪の動画はIOCが地の果てまで追いかけてきて削除させるので、放送を見逃したら最後、ほぼ永遠に演技を見られない。普段フィギュアスケートを見ない人も五輪なら見てくれるというのが選手達にとって五輪を目指すモチベーションの一つになっていると思うのだが、現在ではあまりに商業的な利権が力を持ちすぎて、五輪が一番演技を見る機会が限られる試合となっている。

FSには4グループ16組しか進めないので、須&木原組の五輪がSPで終わるのは予想できたことではあった。しかし中国のCheng Peng & Yang Jin組さえもFSに進めなかったのにはとても驚いた。4年前のソチ五輪でSP16位のNicole Della Monica & Matteo Guarise組のスコアは51.64、今回SP16位のAnnika Hocke & Ruben Blommaert組のスコアは63.04で、つまり4年間で10点以上も足切りラインが上がったことになる。ちなみに須&木原組は57.74で、ソチだったら余FSに進めているスコアだ。ペアの競技人口は減少しているのかもしれないが、トップのレベルはものすごい勢いで上がっている。FSに進めるのが16組というのは少なすぎるし、せめて5グループ20組ほしい。そして日本が世界のトップとの差を埋めたいと本気で思うなら、ペアに対する投資を今の何倍にも増やす必要があるだろう。

須&木原組はFSにこそ進めなかったが、SPでパーソナルベストを更新して笑顔で五輪を終えた。個人戦SPの公式練習で木原選手が右手首を痛めたと聞いて心配していたので、彼らが良い演技ができたのは嬉しかった。(木原選手の右手はテーピングでぐるぐる巻きに固められていた。)彼は昨季左手首の靱帯を傷めて以来ずっとサポーターをしているし、団体戦の演技後応援席で左手首と左膝をアイシングしている姿をカメラが捕らえている。文字通りの満身創痍だ。そんな状態でSPのスコアを一年前の四大陸選手権から7点余り伸ばした。


優勝したのはドイツのAjiona Savchenko & Bruno Massot組。ウクライナ出身のSavchenko選手(34歳)はこれが5回目の、フランス出身のMassot選手(29歳)は初めての五輪だった。Savchenko選手は前のパートナーのRobin Szolkowy選手と共にソチとバンクーバーで銅メダルを獲得したが、金メダルへの執念ゆえにSzolkowy選手の引退後も新たなパートナーを求めて競技を続行した。それまで無名に近かったMassot選手を選んだはいいが、フランスのスケート連盟がMassot選手のリリースを渋ったり(結局金で解決したらしい)、Massot選手がなかなかドイツ語の筆記試験に受からずドイツ国籍取得が危ぶまれたり(試験は3度目で受かったらしい)、平昌五輪出場まで漕ぎ着けるまでの道は決して平坦ではなかった。度重なる怪我は言うまでもない。

そこまで金メダルに固執するのは果たして精神的に健全なのかと正直疑問にも思ったし、今回金メダルが獲れなかったら一体彼女はどうするんだろうかと心配半分怖さ半分だったのだが(^_^;)、めでたく彼女の執念が実を結んで金メダルを獲ることができた。大技のTh3Aはあえて封印して成功率の高いエレメンツを完璧に揃え、プログラムを芸術作品として完成させての優勝だった。


Ajiona Savchenko & Bruno Massot FS @ 2018 Winter Olympic Games
Music: La terre vue du ciel (Armand Amar)
Choreography: Christopher Dean



「La terre vue du ciel(空から見た地球)」という曲名に相応しい壮大で神秘的なプログラム。ツイストリフトの高さ、スロージャンプの大きさが半端なく(^_^;)、Savchenko選手が本当に天まで飛んでいきそうだ。振付は1984年サラエボ五輪でJayne Torvill選手と共にアイスダンスの金メダルを獲得したChristopher Dean氏。その時のFD「Bolero」は今や伝説となっている。

Dean氏は競技から引退後も振付師として独創的なプログラムを発表し続けているが、五輪チャンピオン振付だからといって必ずしも自動的にジャッジから高い評価を受けられるわけではない。今季アイスダンスのイギリス代表Penny Coomes & Nicholas Buckland組に「Battle Remembered」というFDを振り付けたがなかなかジャッジから高い評価を得られず、結局Coomes & Buckland組は欧州選手権前にFDを一昨季のMuseに変更した。

アイスショーは現役時代の戦績で序列が固定される世界で事実上評価というものが存在しないため、競技と比べると緊張感という意味ではどうしても物足りない。競技プログラムの振付の世界は五輪メダリストも現役を無冠で終えたスケーターも同じ土俵で作品を評価される。私がショースケーターよりも振付師の方が競技引退後のセカンドキャリアとして面白いと思う所以である。


(おしまい。)

2018年平昌冬季オリンピック結果と感想【アイスダンス】

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競技結果とプロトコル

1.  VIRTUE Tessa & MOIR Scott  (CAN)206.07
2.  PAPADAKIS Gabriella & CIZERON Guillaume  (FRA)205.28
3.  SHIBUTANI Maia & SHIBUTANI Alex  (USA)192.59
4.  HUBBELL Madison & DONOHUE Zachary  (USA)187.69
5.  BOBROVA Ekaterina & SOLOVIEV Dmitri  (OAR)186.92
6.  CAPPELLINI Anna & LANOTTE Luca  (ITA)184.91
7.  WEAVER Kaitlyn & POJE Andrew  (CAN)181.98
8.  GILLES Piper & POIRIER Paul  (CAN)176.91
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15.  MURAMOTO Kana & REED Chris  (JPN)160.63


SDは後半14組放送のみ、FDは村元哉中&クリス・リード組と最後の7組のみ放送されたので、楽しみにしていたのに見られなかった演技がたくさんあった。なので地元韓国代表のYura Min & Alexander Gamelin組のFD「アリラン」も見ていない。

優勝はベテランのTessa Virtue & Scott Moir組で、これで2010年バンクーバーの金、2014年ソチの銀に続いて個人戦で3つ目のメダルとなった。皮肉なことに勝敗を分けたのはGabriella Papadakis & Guillaume Cizeron組のPapadakis選手の衣装トラブルだった。SDの冒頭でCizeron選手がPapadakis選手の首を掴んだときにホルタートップのホックが外れたらしい。SDの間中Papadakis選手は衣装がずり落ちないように必死だった。かといって途中で演技を止めたら減点になる。私はSDは録画で見たのだが、どうやら本当に危ない部分は編集でカットされていたようだ。
団体戦のSDではMin & Gamelin組のMin選手が同じような衣装トラブルに見舞われたが(幸いPapadakis選手ほどの災難には至らなかった)、おかげで衣装を補強して個人戦に臨むことができた。フランスがどうせ団体戦でメダルは獲れないんだしとPapadakis & Cizeron組を個人戦に温存したのが裏目に出たと言えなくもない。SDのPCS、FDのTESとPCSはPapadakis & Cizeron組がVirtue & Moir組を上回っていたから、ジャッジの頭の中ではPapadakis & Cizeron組の方が勝っていたのではないか。彼らの敗因はSDのTESだけだった。

SDでMadison Hubble & Zachary Donohue組が3位につけたので、これはモントリオール組が表彰台独占化と思いきや、FDの終盤でDonohue選手がコケてコレオツイズルが0点になった。去年の世界選手権と同じパターンだ(^_^;)(SD3位、FD10位、総合9位)。優秀なコーチ陣も選手のやらかし癖まではどうにもならないようだ。ただしMia Shibutani & Alex Shiburani組のFDでとても良い演技だったので、Donohue選手がコケなくともShibutani兄妹には勝てなかったような気がする。 

技術的には確かにVirtue & Moir組やPapadakis & Cizeron組が圧倒的に勝っているのはわかるが、個人的にFDで一番感動したのはEkaterina Bobrova & Dmitri Soloviev組だった。


日本の村元哉中&クリス・リード組は15位で、これは2006年トリノ五輪の渡辺心&木戸章之組と並ぶ日本人の歴代最高位になる。(余談になるが渡辺・木戸の両氏は全日本ジュニアチャンピオン矢島榛乃&嶋崎大暉組のコーチである。)本人達は4年後についての言及は避けているようだが、ぜひ北京五輪まで続けてほしい。


(おしまい。)

2018 Challenge Cup 結果と感想(1)

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競技結果とプロトコル


Senior Men
1.  Adrien TESSON  (FRA)215.75
2.  Daniel GRASSL  (ITA)210.42
3.  Valtter VIRTANEN  (FIN)200.10
4.  Jun SUZUKI  (JPN)  194.10
5.  Ryuju HINO  (JPN)193.77
6.  Thomas STOLL  (GER)191.74

Senior Ladies
1.  Wakaba HIGUCHI  (JPN)203.94 →世界選手権
2.  Rika HONGO  (JPN)168.79
3.  Marin HONDA  (JPN)160.19
4.  Nathalie WEINZIERL  (GER)159.15
5.  Nina POVEY  (GBR) 150.74
6.  Natasha MCKAY  (GBR)149.62

Junior Men
1.  Taichiro YAMAKUMA  (JPN)187.05
2.  Yuto KISHINA  (JPN)169.35
3.  Kai JAGODA  (GER)165.65
4.  Andreas NORDEBäCK  (SWE)153.59
5.  Daniel SAPOZHNIKOV  (GER)149.00
6.  Joshua BROWN  (GBR)145.79

Junior Ladies 
1.  Nana ARAKI  (JPN)174.91
2.  Yuhana YOKOI  (JPN)169.71 →世界ジュニア選手権
3.  Stefanie PRESENDORFER  (AUT)159.12
4.  Gabriella IZZO  (USA)153.62
5.  Akari NAKAHARA  (USA)143.00
6.  Selma VäLITALO  (FIN)132.92

Advanced Novice Men
1.  Casper JOHANSSON  (SWE)119.12
2.  Shunsuke NAKAMURA  (JPN)114.74
3.  Haru KAKIUCHI  (JPN)100.92
4.  Daniel SEIDEL  (SWE)100.49
5.  Tim ENGLAND  (GER)100.21
6.  Brandon BAILEY  (GBR)  94.56

Advanced Novice Ladies
1.  Hanna YOSHIDA  (JPN) 134.77
2.  Alysa LIU  (USA) 129.78
3.  Kinayu YOKOI  (JPN) 108.18
4.  Rika TEJIMA  (JPN)106.54
5.  Leonie SCHWENZNER  (GER)  89.84
6.  Sigrid TELLISKIVI  (SWE)   85.96



Jun Suzuki FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Nuovo Cinema Paradiso (soundtrack by Ennio Morricone, Andrea Morricone)
Choreography: Yuka Sato


鈴木潤選手にとってはこれがシニアに上がって初めての国際大会になるらしい。彼には学業もあるから(北海道大学工学部)、この技術レベルを保つのは大変だろう。先月国体にも出ていたが、卒論は大丈夫なのだろうか(^_^;)?(←余計なお世話。)


Ryuju Hino FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Quidam (from Cirque du Soleil, by Benoît Jutras)
Choreography: Natalia Bestemianova, Igor Bobrin



うーん、どうしたのだろう。国体で見た時も絶不調だったが、怪我でもしているのだろうか?今季は西日本選手権では良い感じで上り調子だと思ったのだが、全日本選手権のSPで大きく崩れてしまった。シニアに上がってこれで4シーズン目になるが、彼を見ていると正直とてももどかしい気持ちなる。誰よりも本人がそう思っているだろうし、悩んで努力しているとはわかっているけれど。


(女子につづく。)

2018 Challenge Cup 結果と感想(2)

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Wakaba Higuchi FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Skyfall (soundtrack)
Choreography: Shae-Lynn Bourne
 

 
世界選手権には平昌五輪に出場した坂本花織選手ではなく樋口新葉選手が出場する。後半のコンビネーションで転倒してしまったけれど、調子はまずまずといったところだろうか。彼女は見かけによらず(失礼w)怪我が多く、昨季の世界選手権、今季のGPF、全日本選手権と、ここ一番という時に良い演技ができないというイメージが定着しかけている。とにかく今は来月の世界選手権まで健康でいてほしい。そして誰よりも自分自身のために来季の3枠を持ち帰ってきてほしい。
 
 
Rika Hongo FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Frida (soundtrack by Elliot Goldenthal)
Choreography: Shae-Lynn Bourne
 

 
1月の国体では良い演技で非公式ながら200点を超えたのだが、今回は体調でも悪かったのだろうか。最後のジャンプは2A3T+2Tに差し替えようと試みて2Tになってしまったのだろう。私はこの「Frida」の完成形を見たいと思っていたのだが、来季さっぱり気分を切り替えるためには、SPFS共に新しいプログラムを用意した方がいいかもしれない。
 
 
Marin Honda FS @ 2018 Challenge Cup **NO AUDIO**
Music: Turandot (by Giacomo Puccini)
Choreography: David Wilson
 

(音声なしです。)
 
 
五輪やISUチャンピオンシップの出場を逃した選手達の多くは、1月にインカレインターハイ、国体などに出場していたが、インターハイにも国体にも本田真凜選手の姿はなかった。だからこれが彼女にとって全日本選手権後初めての試合になるのだが、ぶっちゃけた話今モチベーションが底をついているのだろう。SPでまともに決まったジャンプは2Aだけだった。これからどのような人生を送りたいのか、一度ゆっくり考えた方がいいかもしれない。

 
 (ジュニアにつづく。)

2018 Challenge Cup 結果と感想(3)

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さて、ジュニア。
 
 
Taichiro Yamakuma FS @ 2018 Challenge Cup
Music: La La Land (soundtrack by Justin Hurwitz)
Choreography: Kenji Miyamoto
 

 
後半スタミナ切れになってしまったかw。山隈太一朗選手については去年の西日本ジュニア選手権までまったくのノーマークだった。JGPSオーストラリア大会に出場したのは知っていたが、総合得点149.2110位という成績だったし、同じく出場していた木科雄登選手(182.485位)の方に注目していた。その西日本選手権で山隈選手はSP1位、FS2位、総合得点180.792位に入った。3Aが安定して決まったのが得点としては大きかったが、ジャッジや観客にアピールするのがとても上手く、彼の演技中客席も大いに盛り上がった。これならきっと全日本選手権でも見られるだろうと思っていたら、全日本ジュニア選手権では8位に終わってしまった(^_^;)。しかしこうして年明けのB級大会に派遣されたということは「日本スケート連盟からは良い評価を得られたのだろうし、今回の優勝の意味は大きい。昨シーズンのスコアが160点代で今季が180点代なので、確実に力を付けているようだ。
 
長身で(175 cm)大人っぽい雰囲気の選手なので来季は大学生かなと思ったらまだ高校2年生だったw。男子は中性的な男子選手が多い中、めずらしく男臭い雰囲気を持っている。手足が長くて動きが大きく観客を楽しませる(乗せる?)のが上手い。これからが楽しみな選手がまた一人増えた。この「La La LandFSは彼によく似合っているプログラムだと思う。お洒落な雰囲気でジュニアっぽい感じがしない。最後どんな風にコレオシークエンスが入るか想像しやすいので、おそらく振付師の宮本賢二氏は――残念ながら今季滑る機会はなかったが――シニアバージョンを念頭に置いてこのプログラムを作ったのだろう。
 
平昌五輪も終わらないうちに林祐輔コーチがオランダまで同行していたのにはちょっと驚いた。つい心の中で「お疲れさまです」と思ってしまった(^_^;)
 
 
Yuto Kishina FS @ 2018 Challenge Cup
Music: The Legend of 1900 (soundtrack by Ennio Morricone)
Choreography: Charlie White
 

 
昨年西日本選手権で木科雄登選手の演技を見た時、先輩の無良崇人選手の姿が重なった。身体の使い方や間の取り方が似ていると感じたのだ。また、リンクサイドで見守る無良隆志コーチを見て、無良選手のことを思えば心中穏やかではないだろうと思った。などと考えに耽っていたら、木科選手がFSの冒頭の3Aでとても痛そうな転び方をしてしまい、なんとか最後まで滑りきったものの最後まで辛そうだった。彼は今季やや苦戦気味なのだが、その一番の原因は3Aなのだろう。今回のChallenge Cupでも助走のスピードが足りなくて少し慎重になりすぎているような気もするが、西日本選手権でかなり痛そうな転び方をしたのでちょっと恐怖心が芽生えてしまっただろうか。今は辛抱の時期なのかもしれない。
 
この「The Legend of 1900(邦題:海の上のピアニスト)」FSはジュニアらしからぬ洗練されたプログラムで今季のお気に入りの一つだ。さすがはCharlie White氏振付と言ったところか。おそらく全日本選手権で見たシニアバージョンこそが本当にWhite氏が意図した形なのだろう。ジュニアとは言えスケーティングが美しい木科選手だからこそ滑りこなせるプログラムだと思う。来季まで持ち越してくれたら嬉しいが、彼はこれまでをプログラムを持ち越したことはないようなので、今回が見納めになるかもしれない。
 
 
Nana Araki FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Come, People Of God (from Queen Seondeok soundtrack)
Choreography: Kenji Miyamoto
 

 
Yuhana Yokoi FS @ 2018 Challenge Cup
Music: Burlesque (soundtrack)
Choreography: Akiko Suzuki
 

 
今季全体を通してみれば荒木菜那選手の方が横井ゆは菜選手よりも安定してよい結果を残しているのだが、一番重要な全日本選手権で横井選手が会心の演技でジュニア選手中2位に入ったため世界ジュニア選手権の出場権は横井選手に与えられた。これについて不満の声がないわけではないが、横井選手自身2年前全日本ジュニアで3位に入りながら全日本で苦戦して世界ジュニアへの切符を逃している。要は一番重要な試合で一番良い演技ができるか。来週末の世界ジュニアで横井選手が再び会心のガッツポーズができることを祈りたい。
 
 
(おしまい。) 

2017-2018シーズン解散・引退・その他(4)

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【移籍】Laurence Fournier Beaudry & Nikolaj Sørensen(デンマーク→カナダ)


今月19日からイタリアのミラノで開催される世界選手権のエントリーが発表されたが、まだ補欠との入れ替えが進行中で、落ち着くまでにはもう少し時間がかかりそうだ。アイスダンスでも平昌五輪の金メダリストTessa Virtue & Scott Moir組と銅メダリストMia Shibutani & Alex Shiburani組が早々に棄権を発表したが、デンマークは国自体のエントリーがなかった。Laurence Fournier Beaudry & Nikolaj Sørensen組は昨シーズンの世界選手権で13位に入ったものの、カナダ出身のFournier Beaudry選手がデンマーク国籍を取得できなかったため平昌五輪には出場できなかった。だから世界選手権には出場するだろうと思っていたのにエントリーに名前がないのに驚きかつ心配していたら、デンマークのスケート連盟から彼らをリリースする発表があった。代表国をカナダに切り替えるという。今後Sørensen選手のカナダ国籍取得と合わせて2022年の北京五輪を目指すのだろう。ちなみにFournier Beaudry選手25歳、Sørensen選手29歳。
 
 
Laurence Fournier Beaudry & Nikolaj Sorensen FD @ 2018 European Championships
Music: Spanish Caravan (The Doors), Hush (performed by Marcin Patrzalek), Asturias (performed by Marcin Patrzalek)
Choreography: Marie-France Dubreuil, Patrice Lauzon
 

 
カナダ代表として五輪を目指すといっても、カナダのアイスダンスはレベルも高く層も厚い。平昌五輪で金メダルを獲ったVirtue & Moir組は引退するとして、来季のトップ3とそのPBは以下の通りになる。
 
Kaitlyn WEAVER & Andrew POJE                190.56 (2017 World Team Trophy)              
Piper GILLES & Paul POIRIER                     182.57 (2017 World Team Trophy)
Carolane SOUCISSE & Shane FIRUS            164.96 (2018 Four Continents Championships)
 
Fournier Beaudry & SørensenPBは今年の欧州選手権の164.90なので、Soucisse & Firus組とほぼ並ぶ。ちなみに両組ともモントリオール組で、つまり同じコーチ陣の指導を受けている。 
 
Fournier Beaudry & Sørensen組はISUの規定により来季いっぱい主要な国際大会には出られないが、カナダは日本と違って国内でもアイスダンスの試合はたくさんあるし、来季のナショナルが今から楽しみだ。
 
 
(おしまい。)

今井遥選手引退

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32日に今井遥選手が自身のInstagramで翌日ホームリンクの新潟アサヒレックスアイスアリーナで開催されるエキシビションを最後に競技から引退することを発表した。
 
予想はしていたことだったので正直驚きはしなかった。今季の東北・北海道選手権大会ではFSの怪我のために演技を途中で中断したと聞いた。演技は再開して最後まで滑りきり東日本選手権への進出は果たしたが、結局東日本は棄権し全日本選手権出場は果たせなかった。今季が始まった時点で既に彼女の身体は限界を迎えていたのだろう。
 
ソチ五輪あたりからフィギュアスケートを見始めた人の中には今井選手をよく知らない人も多いかもしれない。彼女が本格的にシニアに上がったのはバンクーバー五輪後の2010-2011シーズンで、当時17歳で鈴木明子選手(当時)や本郷理華選手と同じ長久保裕コーチの門下生だった。同じシーズンにシニアに上がった村上佳菜子選手と共に次世代を担う存在として期待も大きかった。
 
 
Haruka Imai FS @ 2010 Skate Canada
Music: Polovtsian Dances (Alexander Borodin)
 


2011-2012シーズンにはより良い練習環境を求めて練習拠点をデトロイトのDetroitSkating ClubDSC)に移し、佐藤有香氏・JasonDungjen氏の指導を受けるようになる。当時同クラブにはAlissa Czisny選手、Jeremy Abbott選手など、アメリカのトップ選手達が所属していた。このシーズンの全日本選手権で今井選手は4位という好成績を納めた。
 
 
Music: My Fair Lady (modern arrangement)
Chreography: Yuka Sato
 

 
私は「可愛い」という言葉の安売りは好きではないが、今井選手は本当に「可愛い」という形容がぴったりなスケーターだと思った。2011-2012シーズンのEXPureImagination」はパステルカラーの衣装もよく似合ってまさに妖精のようだった。
 
 
Haruka Imai EX @ 2012 NHK Trophy
Music: Pure Imagination (written by Leslie Bricusse and Anthony Newley, performed by the cast of Glee)
 

 
大胆な環境の変化は当初は成功したかに見えた。しかしアメリカに移って2シーズン目に彼女の成績は大乱調に陥る。このシーズンの全日本は14位。全日本後そのまま日本に残って1月の国体に出場し、今度は会心の演技で成年女子優勝を果たしたが、後にこれが練習拠点を日本に戻すきっかけになったと聞いた。DSCのコーチ陣やリンクメートとの関係は良好だったが、アメリカでの生活は予想以上にストレスが大きかったようだ。
 
2013-2014シーズンには練習拠点を東京に移し道上留美子コーチの指導の下、全日本選手権で5位、四大陸選手権では4位に入った。
 
 
Haruka Imai SP @ 2014 Four Continents Championships
Music: Song without words in D major, Op.109 (Felix Mendelssohn)
Chreography: Natalia Bestemianova, Igor Bobrin
 

 
SP3位につけたので、このままメダルを獲れるかと期待したのだが、FSでは6位、総合4位と惜しくも表彰台を逃した。スケート靴が壊れていたのだと後になって知った。
 
2014年に新潟に通年リンクがオープンするのきっかけに練習拠点を移したが、新潟にはトップレベルを指導できるコーチがいないため、週末のみ道上コーチの指導を受けていると聞いた。ソチシーズンからの4年間は健康上の問題を抱えながらの競技生活だったようだ。もともとはスピンの名手でどんなにポジションを変えても回転速度が落ちないのは見事だったが、その得意の筈のスピンでレベルを取りこぼすようになった。パフォーマーとして魅力的に成長し、海外の振付師から数々の良いプログラムを作ってもらったが、いずれも未完成に終わってしまった。特に2014-2015シーズンの「ジゼル」(Phillip Mills氏振付)FSと最後のFSとなった「プリマヴェーラ」は完成形が見られなかったのが本当に残念だ。
 
 
Haruka Imai FS @ 2016 Japanese National Championships
Music: Primavera (Ludovico Einaudi)
Chreography: Pasquale Camerlengo
 

 
今後は指導者を目指すとも聞いているが、具体的なことはまだ決まっていないという。私が最後に彼女の演技を生で観たのは昨季の東日本選手権だったが、あまりの細さに心配になった。引退セレモニーの映像では少しふっくらして見えたので安心した。ジャンプのプレッシャーから解放されたのびのびとした彼女の演技をアイスショーで見たいと思うが、それは難しいだろうか。
 
 
新潟日報モア:フィギュアスケーター今井遥さん、新潟で現役最後の演技【動画あり】(201833日)
 
 
(おしまい。)

須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組解散

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フランシス・ブードロー=オデ選手が自身の34日付けのInstagramで日本代表を退くことを発表した。パートナーの須藤澄玲選手からは何も音沙汰はないが、これは事実上の解散ということなのだろう。
 
これは須藤澄玲&フランシス・ブードロー=オデ組が昨年全日本選手権の欠場が発表された時から恐れていたことではあった。五輪は考えていないと言ってはいたが、いざそのシーズンを迎えたらやはり五輪を目指すリンクメート達が羨ましくなったとしても不思議はない。現在の日本の国籍法では日本に居住しなければ国籍の取得は不可能である一方で、日本にペア選手を育成できる環境は存在しないし、これからも当分ないだろう。(日系人の元ペルー大統領アルベルト・フジモリ氏の様な政治的例外のみ居住条件が免除され二重国籍が認められている。)
 
須崎海羽&木原龍一組が平昌五輪の個人戦に出場できたのも彼らがNebelhorn Trophyで枠を獲得してくれたからで、二人には本当に感謝しかない。ブードロー=オデ選手はジュニア時代に古賀亜美選手と2シーズン、須藤選手とはシニアの3シーズン、計5シーズンに渡り日本代表を務めてくれた。心からありがとうと言いたい。
 
 
Sumire Suto & Francis Boudreau-Audet FS @ 2016 NHK Trophy
Music: Les Parapluies de Cherbourg (Michel Legran)
Choreography: Julie Marcotte
 

 

Sumire Suto & Francis Boudreau-Audet SP @ 2017 WorldChampionships

Music: Sakura (written by Naotaro Moriyama, performed by Andre Rieu)
Choreography: Julie Marcotte
 

 
二人の醸し出す優しい雰囲気がとても素敵なカップルだった。それぞれが素晴らしパートナーに巡り会えますように。


(おしまい。)

2018 Coupe de Printemps エントリー

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公式ウェブサイト(2018年3月16~18日、ルクセンブルグ)

エントリー

【シニア男子シングル】友野一希、佐藤洸彬、山本草太
【シニア女子シングル】坂本花織、三原舞依、白岩優奈
【ジュニア男子シングル】壷井達也、長谷川一輝
【Advanded Novice Girls】伊勢野花  


羽生結弦選手が世界選手権棄権(3月19~25日)を棄権したため、第二補欠の友野一希選手が出場することになっている。友野選手はルクセンブルク→ミラノの連戦になるのだろうか。彼は去年も福岡(西日本選手権)→大阪(NHK杯)の連戦だった。


(おしまい。) 
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