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Channel: Mikekoの徒然ブログ
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2013 World Team Trophy 感想(4)

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【もうお前は口を開くな】
 
WTTにおいてSPFSで合計4回転倒し、それでもPCSに助けられて男子シングル2位に終わったPatrick Chan選手は、帰国早々「この試合に強制的に出場させられた」とメディアに不満をぶちまけた。自らの意思に反してWTTに強制的に参加させられないように、スケート連盟の金儲けの道具にされることを拒む権利を主張できるように、選手達で組合を組織するべきだと主張した。
 
Patrick Chan's new mantra: figure skatersof the world unite: DiManno
"I would be at the forefront of supporting a union for skaters," the three-peat world men's champion from Toronto declares. "This is ridiculous. I just think we're being manipulated for the benefit of the (International Skating Union) because they're making all the money."
 
もしChan選手がStars on Iceのカナダツアーに出演したいのなら、まずWTTに出場しなくてはならないと、カナダスケート連盟が彼に条件を付けたらしい。一方で、アイスダンスのTessa Virtue & Scott Moir組はWTTを棄権したにも拘わらずSOIに参加しており、なぜ両者でSOI出演の条件が異なったのかはわからない。Chan選手は常日頃から競技にかかる費用の大きさと経済的な苦しさについての不満をメディアに語っているので、SOI参加は練習費用を確保するという意味でも重要なのだろう。
 
ちなみにWTTでは参加チーム全員に賞金が出る。優勝したカナダにはUS$200,000(約2000万円)、単純に選手数で割ると一人あたり約250万円だから結構な金額だ。WTTで儲かったのはスケート連盟だけではない。
 
もしWTT開催前にChan選手が同じことを主張していたら、Trankov選手が露スケート連盟の決定に異議を唱えたようにChan選手が加スケート連盟に対し真正面から抗議していたなら、彼の言葉はもっと重みを持つことができたかもしれない。しかしWTT4回も転倒した後では、もはや虚しい負け惜しみにしか聞こえない。
 
更に多くの人の神経を逆撫でしたのは、Menshov選手の怪我に関するこのコメントだ。
 
"What if that was me?" wonders Chan. "Whatif my training for next year, an Olympic year, had gone out the window becauseof a stupid injury at a stupid competition?"
 
先に述べたように、Menshov選手は本当にWTT出場を切望していた。その大会を「下らない試合」、彼の右肩脱臼を「下らない怪我」呼ばわりするのは、自己中心的かつ傲慢としか言いようがない。
 
選手はスケート連盟によってWTT出場を強要されるべきでないというChan選手の意見はもっともだと思う。出場するか否かは選手自身の判断に委ねるべきだ。また、高いチケットを買ってわざわざ会場に足を運ぶ観客の側にしてみれば、「stupid competition」と競技会そのものを馬鹿にしている選手に声援や拍手を贈るのも阿呆らしい。カナダは去年アイスダンスのScott Moir選手が「I hate this competition」とTwitterでつぶやいて顰蹙を買った。せっかくのお祭り気分に水を差すような選手は正直いないほうがいい。
 
ただし、全ての参加選手がWTTを「stupid competition」と考えていたわけではない。世界選手権で満足の行く結果を残せなかった選手や、世界選手権に出場できなかった選手にとっては貴重な大舞台だったし、ここでの結果はISUポイントには加算されないものの、得点は公式記録として扱われ、自己ベストが出れば記録に残る。事実今回自己ベストを更新した選手は少なくなかった。
 
結局Chan選手が気にかけているのは自分だけであり、他の選手のことなどまったく考えていないし、組合を組織するつもりなどさらさらないのが本音だろう。それに、もし彼が組合結成を呼びかけたとして、彼のもとに馳せ参じる選手がいるとは思えない。
 
もしChan選手がWTTに参加したくなかったのなら、それは彼個人の意見として加スケート連盟に伝えればいい。しかし、それがあたかも全選手の総意であるかのように、メディアに語る権利は彼にはない。ついでに言うなら、メディアに対してものを言う時は、口を開く前に今一度内容について考え、言葉を慎重に選んだ方がいい。このRosie DiMannoというコラムニストは、かねてからChan選手について辛辣な記事を書いている人物だ。去年も今年もChan選手の世界選手権優勝に対し声高に異議を唱えていたし、Chan選手を現在の採点法の問題点の権化として半ば目の敵にしている。
 
Chan選手の人生計画によれば、彼はソチ五輪で金メダルを獲得して競技から引退し、既に入学許可が降りているハーバード大学に進学するのだそうだ。彼が将来どのような職業を志すのかは知らないが、弁護士と政治家はやめておいたほうがいい。陪審員をドン引きさせるような発言をして勝てるはずの裁判で負けるか、選挙活動中に重大な失言をしたところを誰かに撮影されてYouTubeにアップロードされ、戦線離脱を余儀なくされるくらいが関の山だろうから。


(まだ続く。)

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